ブランドイメージの回復は可能か
雑誌「Forbes」が世界でもっとも価値が高いブランドランキングの2013年度版「The World’s Most Valuable Brandsを発表し、Appleは1,043億ドルの価値があるブランドとしてトップに輝いた。同誌の記事によると、Appleは3年連続の1位。2位はMicrosoftで34%の営業利益率が高く評価されている。なお、Microsoftのブランド価値は567億ドルとAppleの半値にとどまった(図06)。
IT系では、4位にIBM、5位にGoogle、8位にIntel、9位にSamsungと多くの企業がランクイン。日本のIT系企業は57位にキヤノン、63位に任天堂、80位にソニーの名前を確認できる。100位までのランキングはこちらのComplete Listをご覧いただきたい。
また、海外のIT系ニュース媒体「The Verge」の記事によると、リーガエスパニョーラに属するReal Madrid(レアル・マドリード)の本拠地、Santiago Bernabeu(サンチャゴ・ベルナベウ)スタジアムの命名権取得に向け、Microsoftと同クラブが交渉中であるという。
このようにMicrosoftは自社のブランドイメージを高めようとしているが、2015年で40周年を迎える同社の歴史を紐解くと、DOSやWindowsといった自社製品によるシェア拡大に伴い、憎悪の対象として扱われていた時期がある。
一時期はOSのシェアが90%以上まで高まり、ライバル企業やオープンソース陣営から、時に正しく、時にやっかみのような批判を受け続けていた。Wendy Goldman Rohm(ウェンディ・ゴールドマン ローム)氏著の「マイクロソフト帝国 裁かれる闇」に書かれたように、法廷闘争にまで及ぶ部分があったのも事実のようだ。
少なからずMicrosoftはパーソナルコンピューターにおける"巨人"であり、"悪の帝国"という不名誉な冠を付けられた時期もある(この2つの名は現在Googleに用いられている)。前節で述べたようにアドオンのようなソフトウェアの充実は、オープンソース陣営もしくはフリーソフトウェア開発者の参画が欠かせない。しかし、悪印象を持つMicrosoftのWebブラウザーよりも、オープンソースのMozilla Firefoxにシンパシーを感じるのは至極当たり前だ。
次期CEO決定後に引退を予定しているMicrosoft CEOのSteve Ballmer(スティーブ・バルマー)氏が「我々はチャレンジャーだ」と発言しているように、同社は既に"悪の帝国"ではなく、ライバル企業の後塵を拝している状態を改善するため、先のネーミングライツにも注力しているのだろう。
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