同団体メンバー宅の猫・エドワード君

10月27日、東京都の井の頭恩賜公園の野外ステージにて猫の譲渡会が行われた。今回の譲渡会では、75匹中33匹に里親希望の申し込みがあったとのこと。申し込みがなかった猫ちゃんたちの里親募集もホームページにて引き続き行われている。

譲渡会の主催は、人と猫が共存できる街づくりを目的に活動する「むさしの地域猫の会」と武蔵野市環境政策課だ。今回は、「むさしの地域猫の会」の活動内容を取材した。

むさしの地域猫の会とは

むさしの地域猫の会は2006年9月に発足。ボランティアと武蔵野市環境政策課との協働で、猫によるトラブルをなくし、人と猫が快適に共存できる街づくりを目標にしている。具体的な活動としては、飼い主のいない猫の不妊去勢手術費用の助成、飼い主のいない猫のTNR(一時保護・不妊去勢手術・リターン)活動、里親募集、飼い猫の適正飼育の普及など。

美しい猫ちゃんに出迎えてもらった

エドワード君

今回取材に応じてくれたのは、むさしの地域猫の会の大越幸子さんと岡崎玲奈さん。取材にあたり、大越さんのご自宅にお邪魔させてもらった。リビングに招かれると、そこにいたのは淡いグリーンの瞳をした美猫。名前は「エドワード」君だそうだ。

エドワード君は、大越さんの甥っ子さんが栃木県で保護した猫ちゃんで、4歳8カ月になる男の子だ。とても人慣れしているらしく、「こんにちは」と声をかけるとすり寄ってきてくれた。お母さんが大好きなようで、インタビュー中、何度も大越さんのお膝に乗ろうとしたり、「撫でてほしい」とおねだりするなど、甘えん坊な様子を見せてくれた。

大越さんは、子どものころから自宅でたくさんの動物に囲まれて育ったとのこと。猫はもちろんのこと、犬やアヒル、ニワトリ、十姉妹、ヒヨコ、カメ、金魚などなど。今はエドワード君と一緒に暮らしていて、「一日中エドのことを考えるほど、この子のことが大好きです(笑)」と嬉しそうに話してくださった。

活動の背景について尋ねると、「人とのあたたかい暮らしを、よりたくさんの猫ちゃんたちにしてもらいたい」と大越さん。外で暮らす、飼い主のいない猫たちの寿命は非常に短い。もっとたくさんの猫たちに幸せになってもらうために、活動を続けているのだ。

岡崎さんにインタビュー

活動に関して、主に質問に応じてくれたのは岡崎玲奈さんだ。

――岡崎さんが、猫のための活動を行おうと思ったきっかけ・背景を教えてください。

母をはじめ、地域で猫のために活動をされている人たちが身近にいたことがきっかけです。今はインターネットがありますが、昔は当然ながらありませんでしたので、里親探しもとても大変でした。もっとたくさんの猫ちゃんたちに幸せになってほしくて、譲渡をより上手く行えるようになりたいと思い、むさしの地域猫の会の会員になりました。

――正式に譲渡する前に、里親を希望された方と個別面談を行うそうですが、実際どのようなことをやりとりされるのでしょうか?

面談にあたり、里親さんを希望されている方のご自宅にお伺いしております。猫のお世話の仕方、これから家族になる猫ちゃんの性格やその子ならではの行動のクセなどを説明し、アドバイスしています。

それと、個別面談に関しての詳細は、ホームページに詳細に書いてありますので、是非参考になさってください。

――これまでご自身で猫と暮らしたご経験などありましたら、そのときの思い出について教えてください

いちこちゃん

大河君

昨年急性腎不全で亡くなってしまいましたが、「いちこ」という女の子と暮らしていました。その子は私にとって子どもであり、よき相談相手でした。もう傍にはいませんが、その子と一緒にすごした時間が宝物となっています。

真珠(パール)ちゃん

ま~ちゃん

今は、いちこが最後に面倒を見てくれていた猫たちと暮らしています。大河という男の子と、真珠(パール)という女の子です。実はワンちゃんもいて、名前はむうとです。猫が好きでよく世話をしてくれるので助かっています(笑)。

集合写真

――むさしの地域猫の会には、特定の保護シェルターはなく、猫が保護されてから里親さんが見つかるまでは、会員の皆さんが自宅でお世話をするとうかがいました。岡崎さんのご自宅にも保護猫ちゃんはいるのでしょうか?

はい。黒猫の女の子で、ま~ちゃんという猫ちゃんを保護しています。保護の様子は、日々のブログから見ていただくことができます。

――ありがとうございます。お写真から、とても大切にされていることが伝わってきます。それでは、日ごろの活動業務で嬉しかったこと、大変だったことを教えてください

「末期の病気にかかってしまい、大切にしていた猫を手放さなければならない」という相談を受けました。猫は、きなこちゃんという名前です。きなこちゃんは、半年かかって新しい家族を見つけることができました。その報告を前の飼い主さんにした際、「自分が生きている間に、きなこが幸せになれた姿を見ることができた。ありがとう」と言ってくれたことが本当に嬉しかったです。

また、長年一緒に暮らしていた猫が病気になってしまったという理由で猫を外に放り出す飼い主がいます。その猫たちを保護した際、猫が心を閉ざしてしまっている姿を見るのがつらく、里親さんを見つけるのも大変でした。

――今後の活動に対する思い・意気込みを語ってください

めぐまれない猫たちを少しでも幸せにしたいです。里親さんに、「この子たちに出会えてよかった」と言ってもらえるように心のこもった譲渡をしたいです。

――これから猫の里親になるかもしれない人たちに向かって一言お願いいたします

猫ちゃんにも、人と同じように命があります。愛情をもって、生涯共に生活するという責任をもって家族としてむかえてほしいと思います。

――ありがとうございました。

むさしの地域猫の会

むさしの地域猫の会の活動詳細は、ホームページを参照のこと。