「『ネオ・ウルトラQ』特別上映パート1」初日舞台あいさつが9日、東京有楽町・TOHOシネマズ日劇で開催され、女優の桜井浩子、田口清隆監督、円谷プロダクション造形師の澗淵隆文氏が登壇した。
『ウルトラQ』は1966年に放送された特撮ドラマで、後に続く『ウルトラマン』シリーズへとつながる円谷特撮作品の礎となり、ウルトラマンのような巨大ヒーローは登場せず、怪獣や宇宙人を中心にしながら社会問題にも切り込んだ作品。2013年1月からは円谷プロダクション×WOWOWによる共同製作で、全く新しい内容のセカンドシーズン『ネオ・ウルトラQ』を全12話で放送して好評を博した。今回の特別上映では、全12話の内3話と、モノクロ作品だったオリジナル版『ウルトラQ』をHDリマスターで、そしてカラー化した『総天然色ウルトラQ』からよりすぐった1話を4カ月連続で上映する。
『ウルトラQ』と『ウルトラマン』の両作品に出演した桜井は、「私のルーツは東宝なので、TOHOシネマズの大きなスクリーンに『ウルトラQ』がかかるのは感無量です」と感慨深げ。「『ウルトラQ』の当時はすごくプロフェッショナルな人がいる一方、まだ学生みたいなスタッフさんもいて、円谷英二さんも心配なのかしょっちゅう現場を見にきてました」と、撮影当時を振り返った。『ネオ・ウルトラQ』に関しては、「私たちが苦労して作った『ウルトラQ』を見て集まってくれたスタッフが参加していて、当時と同じような熱を画面から感じるんです。その情熱はいいなって思います」と語っていた。
『ネオ・ウルトラQ』に参加した4人の気鋭の監督の1人である田口監督は、昔から大の怪獣ファンで、「僕は中学生の頃にウルトラ9という自主映画を撮ってたんです。そんな僕が本家本物で取ると話したら、当時の仲間がぽかんとしてました。撮影中は自分が本当に『ウルトラQ』を撮ってると胸が熱くなりました」と語ったほど。今回上映されたうち、田口監督が担当した「東京プロトコル」については、「すごく変な話で、自分的にも冒険した話です。この話では本格的なミニチュアを、わからないように使ってますので、特撮ならではの見せ方を楽しんでください」と解説していた。
『ネオ・ウルトラQ』の怪獣の造形を担当した澗淵氏は、「『ウルトラQ』はウルトラマンが存在しない、怪獣が主役の作品なんです。怪獣たちは怖い存在というより、どこか哀愁があるように考えて作りました」と造形のポイントを紹介。各監督とのやりとりについては、「色々なクリエイターの方が参加しているのですが、田口監督は怪獣と特撮が大好きな人なのでツーカーで話が進めやすいです。怪獣をどこかかっこよくしたい監督が多い中、田口監督は他の人とは全く趣味が違いますね。入江監督は哀愁のある、人間的な感情表現を怪獣に求めていたので、そこをどう表現するかに苦労しました」と造形師の立場からエピソードを披露した。
トークショー中のステージには『ネオ・ウルトラQ』の鉄貝獣ガストロポッドや吸引怪獣プラーナが展示されていたほか、初代『ウルトラQ』の古代怪獣ゴメスがフォトセッションに乱入して客席を沸かせる場面もあった。最後は桜井が「大きなスクリーンで『ウルトラQ』を見るチャンスはなかなかないと思います。私もドキドキしてますが、ぜひ楽しんでください!」と語り、トークショーを締めくくった。
『ネオ・ウルトラQ』特別上映は、TOHOシネマズ日劇ではパート1が11月9日より、パート2が12月9日より、パート3が2014年1月9日より、パート4が2014年2月9日より各一週間ずつ上映。2013年11月~2014年2月までは毎月9日を「Qの日」として、全国TOHOシネマズ15館でもレイトショー上映する。
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