アップルの「iPad Air」が11月1日に発売されてから、ちょうど1週間が経つ。「BCNランキング」によれば、iPad AirはWi-Fiモデル、Wi-Fi+Cellularモデルともに売れ行きは好調で、11月3日までの発売3日間の販売台数は、前モデルの第4世代iPadの2.9倍となったという。また、iPad AirのWi-Fi+Cellularモデルは、日本ではソフトバンクとKDDIが販売しているが、キャリア別の販売台数シェアではソフトバンクが6割強となり、KDDIに勝利した。本稿ではその詳細を紹介するとともに、理由についても分析していきたい。

iPad Air

発売後3日間の販売台数は第4世代iPadの2.9倍に

家電量販店での実売データにもとづくランキングを公開しているBCNランキングでは、11月1日から3日までのiPad Airの売れ行きやキャリア別シェアなどを紹介している。それによれば、Wi-FiモデルとWi-Fi+Cellularモデルを含めたiPad Airの販売台数は、前モデルである第4世代「iPad Retinaディスプレイモデル」の発売後3日間の2.9倍となった。また、Wi-Fi+Cellularモデルだけを見てみても、発売後3日間の販売台数は第4世代iPadの1.9倍だという。

iPad Airの売れ行きが好調な要因としては、前モデルと比べて薄型・軽量化したことが挙げられ、iPadの旧モデルを使っていた人の買い替え需要や、これまでiPadの購入をためらっていた人の人気を集めていることが予想される。

Wi-Fi+Cellularモデルの販売台数シェアはソフトバンクが勝利

また、同記事では、Wi-Fi+CellularモデルのiPad Airのキャリア別販売台数シェアも紹介しており、それによると、ソフトバンクが61.9%、KDDIが38.1%で、発売3日間の販売台数はソフトバンクがKDDIを大きく上回った。

ソフトバンク版iPad Airの売れ行きが好調な要因には、同社が実施しているiPad向けのキャンペーンなどが挙げられる。「タブレットセット割」では、4G/ 4G LTEスマートフォンユーザーが追加でiPadを契約することで、iPadのパケット定額料5,985円/月が最大2年間1,050円/月になる。加えて今ならiPadのデータ容量制限も月間7GBまでを利用可能だ。なお、KDDIも同等のキャンペーンを提供しており、ユーザーにとってはセルラーモデルがよりおトクに利用できるようになったと言える。

ソフトバンクとKDDIで大きく異なるのが、旧モデルのiPadの下取り額だ。両社とも下取りキャンペーンを実施しているが、たとえば、Wi-Fi+Cellularモデルの第4世代iPad 128GBの場合、ソフトバンクの「スマホ下取り割」では27,000円となるのに対し、KDDIの下取り額は18,000円相当(auポイントによる付与)で、ソフトバンクの下取り額のほうが9,000円高い。また、Wi-Fiモデルの第4世代iPadの場合、下取り額はソフトバンクのほうが1万円以上も高くなっており、iPad Retinaディスプレイモデル128GBの場合で、ソフトバンクは25,000円、KDDIは14,700円となっている。

とりわけ、料金面では旧モデルiPadの下取り額の違いが目立った。これまでWi-Fiモデルを利用してきた人の中には、場所を選ばず利用でき、Wi-Fiルーターを持ち歩かなくても済むWi-Fi+Cellularモデルに買い替えたいという人も多いだろう。そういう人たちにとっては、ソフトバンクの下取り額が魅力的に映ったと思われる。また、両社ともにiPadのパケット定額料が最大2年間1,050円/月になるキャンペーンを実施していることもその後押しとなっているとも言えそうだ。

両社のiPad Airのネットワークは?

また、ソフトバンクとKDDIのiPad Airで利用できるネットワークも気になるところだ。Wi-Fi+CellularモデルのiPad Airでは高速通信のLTEを利用できるが、ソフトバンクは従来よりも帯域を増やすことで通信速度を倍増させた2つの周波数帯の「倍速ダブルLTE」を、KDDIは800MHz帯を利用した「プラチナバンドLTE」をアピールしている。

マイナビニュースがiPad Airの発売日である11月1日に、都内4カ所で実施した通信速度テストでは、4カ所の平均でソフトバンクが下り23.92Mbps / 上り13.03Mbps、KDDIが下り19.43Mbps / 上り7.34Mbpsとなり、上り・下りともにソフトバンクが速かった。これだけで優劣を判断することはできないが、いずれにせよiPad Airでは、セルラーモデルがよりおトクに持てるようになっていることも加味しつつ、自分の生活圏のネットワークや料金を吟味することがポイントとなりそうだ。

*  *  *

本稿では、Wi-Fi+Cellularモデルの販売台数シェアで、ソフトバンクがKDDIに勝利した理由について考えてみた。iPad Airの料金プランやキャンペーンは、ソフトバンクとKDDIでほぼ同等となっているが、旧モデルの下取り額ではソフトバンクが1万円前後下取り額で高額となっている。また、iPhoneなどのスマートフォンとiPad Airのセットで毎月のパケット定額料1,050円となるキャンペーンを両社ともに提供している。販売状況、ネットワークなどで現在ソフトバンクが優勢となっているようだが、今後のiPad Airの売れ行きと、11月中に発売予定のiPad mini Retinaディスプレイにも注目しておきたい。