予告があった通り、米NVIDIAは7日(現地時間)にデスクトップ向けGPUの新モデル「GeForce GTX 780 Ti」を発表した。10月18日(現地時間)に存在が公表された当初は、その名からGeForce GTX TITANとGeForce GTX 780の間に位置付けられる製品化と思いきや、ふたを開けてみれば予想以上のスペックを備えた新たなフラグシップGPUであった。それでは早速性能評価を中心に製品を紹介していこう。
「GeForce GTX 780 Ti」は、「GeForce GTX 780」や「GeForce GTX TITAN」と同じ"GK110"コアを採用した製品だ。しかしながら、搭載するCUDA Core数はその両製品を超える2,880基で、GK110ベースの製品の中でも最も多い。
■既存モデルとのスペック比較 | |||
モデル | GeForce GTX 780 Ti | GeForce GTX Titan | GeForce GTX 780 |
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ベースコア | GK110 | ||
製造プロセス | 28nm | ||
トランジスタ数 | 71億個 | ||
GPC数 | 5基 | 4 or 5基 | 4基 |
SMX数 | 15基 | 14基 | 12基 |
CUDAコア数 | 2880基 | 2688基 | 2304基 |
ROP数 | 48基 | ||
テクスチャユニット数 | 240基 | 224基 | 192基 |
GPUベースクロック | 875MHz | 836MHz | 863MHz |
GPUブーストクロック | 928MHz | 876MHz | 900MHz |
メモリクロック | 7010MHz | 6008MHz | |
メモリタイプ | 3GB GDDR5(384bit接続) | 6GB GDDR5(384bit接続) | 3GB GDDR5(384bit接続) |
TDP | 250W | ||
補助電源ピン | 8ピン×1、6ピン×1 | ||
出力端子 | DL DVI×2、DisplayPort×1、HDMI×1 |
さらに「GeForce GTX 780 Ti」のスペックを見てみると、SMXは15基でこれはNVIDIAのホワイトペーパー(PDF)によると、フル実装のGK110コアだという。
GeForce GTX TITANは14基、GeForce GTX 780は12基のSMXを有効にしていたので、GeForce GTX 780 Tiは13基のSMXを有効化するとみられていたが、実際は15基と予想を超えるものであった。
メモリはGeForce GTX 770でも採用した7GbpsのGDDR5を搭載する。容量は3GBでバス幅は384bitを備え、Memory Bandwidthは336GB/sになるという。こうした結果をまとめて、先行するRadeon R9 290Xとの性能比較を行ったのが以下の図である。
Radeon R9 290Xとのパフォーマンス比較といった部分では、NVIDIAはGeForce GTX 780 Tiの方が冷却や静音性に優れると述べるに加えて、Radeon R9 290Xの動作クロックについて、スペックでは最大1GHzだが実際はそれよりもかなり低いところで動作しているとのテスト結果も公開している。
Crysis 3を使った20分間のテスト。Radeon R9シリーズは"最大1GHz"とベースクロックを公開していない。NVIDIAとしては「われわれはベースクロックとして最低限のクロックを保証している」という主張 |
さて、機能面に目を向けてみると既存のGeForce 700シリーズでも利用可能なGPU Boost 2.0に加えて、新たなパワーバランス機能を搭載した。これは主にオーバークロック用途に向けたもので、通常グラフィックスカードは電源コネクタとPCI Expressからバランスよく電源が供給されているが、オーバークロック時にはそのバランスが崩れてしまう。パワーバランス機能によって、オーバークロック時でも電源供給のバランスが取れ、動作クロックをより高く引き上げることができるという。
また、Kepler世代のGPUに内蔵されたH.264ビデオエンコーダを利用して、1080pで毎秒60フレームのゲームプレイ動画を記録できる「SHADOWPLAY」、対応ディスプレイと合わせて使うことで表示の遅延を解消するという「G-SYNC」といった機能を搭載する。
SHADOWPLAY。ニコニコ動画をといった動画投稿サイトやTwitchなどゲーム実況サイトが盛り上がっている中、手軽にプレイ動画を記録できるのはありがたいというユーザーもいるだろう。プレイ動画の公開を許諾するゲームタイトルも少しずつではあるが増えてきた印象だ |
NVIDIAによると、「G-SYNC」対応ディスプレイは、2014年第1四半期にディスプレイメーカーから発売される予定だとしている。Radeon R9/R7シリーズの"Mantle"や"TrueAudio"のように対応製品がまだ市場にないため、実際の評価はこれからといったところだ。
G-SYNCについては対応ディスプレイが出てからというところ。概要についてはこちらの記事を参照してほしい |
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