エプソンは6日、2012年8月の発売以来、数多くのランナーから好評を博しているGPS機能付きウオッチ「Wristable GPS」の新製品を発表。高いGPS測位精度や約30時間のバッテリ寿命を実現し、ラインナップは3モデル(全4機種)。同日に開催された記者発表会の様子をお伝えしよう。新モデルの概要は別記事『エプソン、腕時計タイプのウェアラブルGPS「Wristable GPS」の新モデル』を参照いただきたい。
発表会の冒頭、エプソン販売 取締役 販売推進本部長の中野修義氏は、昨今のランニング市場は堅調な増加傾向との市場分析結果を紹介。ランナーが身に付けている腕時計も、GPS機能を有したものが年々増加していくと予測する。
そうした背景を鑑み、今回の新モデルを開発。100kmにもおよぶ距離を走破するウルトラマラソンや、山野を駆け巡るトレイルランニングなどにも対応する「SF-710S」、薄型軽量でランナーの邪魔にならない「SF-510T」、レースやフルマラソンに挑むランナーはもちろん入門者にも最適とする「SF-310G」「SF-310W」を、新たなバリューを付加した製品として投入していくという。
セイコーエプソン センシングシステム事業部長の森山佳行氏は、「今回の新製品には『より高い精度で走った距離の計測したい』や『より正確な走行ペースを知りたい』、『もっと長時間使用したい』、『より快適に操作したい』といった、ユーザーからの声を色濃く反映、エプソンの独自技術でその要望に応えてきた」と自信を見せた。
独自開発したGPSチップとアンテナは、衛星信号を安定して受信し、高精度での測位を可能にした。また、国産準天頂衛星「みちびき」にも対応するなど、「確かな精度」の向上に抜かりはない。これらのチップは消費電力の低減にも寄与しており、ロングライフ化にも役立っているという。
また、トンネルや屋内といったGPS信号の受信環境が厳しいシチュエーションであっても、新規開発された高性能ストライド解析処理CPUとアルゴリズムにより、誤差の少ない測位・計測が行えるようになったという。
従来は、身体の上下動サイクルや実際に走行している速度などから歩幅を自動計測していたが、新製品では独自アルゴリズムを用いて、よりノイズの少ない高精度の歩幅を求められるよう進化を遂げた。その結果、ビルに囲まれているようなGPS機器には厳しい環境下であっても、正確な距離を計測することが可能となっている。
「早く走り始めたいんだけど、GPSの測位がまだ終わらないんだよね」と、GPS機能付きスポーツウオッチを持った多くのランナーを悩ませていた点についても、スキップ機能を付加させたことで解消。スタート時にGPSの測位完了を待たずとも、走りながらサーチが行える。サーチ完了まではインドアモードで距離を計測し、走りたい時にいつでもどこでも計測できるようになった。
iPhone対応アプリの公開も予定している。iPhoneからいつでもどこでも計測データをアップロードし、ビジュアルなWebアプリで走行データのチェックを行えるようにするという。
エプソン販売 SW営業部部長の西岡茂樹氏からは、今回の新モデルを含めた全6モデルでの市場展開を予定し(従来モデルも継続)、入門者から本格派まで多様化するユーザーニーズを満たしていく…というスタンスが語られた。
また、より多くのランナーに「Wristable GPS」を体験してもらえるよう、ランナー向けの体験イベントやレンタルサービスを行っていくことも発表された。現時点での体験イベントは、2013年11月30日と12月15日の東京、12月22日の大阪を予定。今後2014年3月まで、月に一度のペースで開催していくという。ランナーはもちろん、GPS機能付きスポーツウオッチに興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか。
「ウェアラブル」という意味では、長年「時計」というカテゴリで他のコンペティターと競争を繰り広げてきたエプソン。今後、どんなアイディア、製品でエプソンらしいユニークな新たな価値を提供してくれるのか、目が離せそうにない。