滋賀県野洲市が10月24日に提出した携帯電話等の販売方法の改善に関する要望書について、KDDI広報部は6日、「野洲市に対しては回答に向けた準備を進めている」とコメントした。

野州市の要望書は、今後、多数の消費者との間にトラブルを生じさせるおそれがあるとして、先月24日にKDDIに提出したもの。野洲市は、市民から寄せられた相談に対応する中で、KDDI全体の携帯電話等の販売方法を改善する必要があると考え、改善を検討するように要望した。その後、KDDIから報告を受けたが、その報告内容では、トラブルの再発防止が不十分であるとし、同市は要望書という形でKDDIに改めて報告・提出していた。

同市が公表した具体的な相談内容は、物販契約が12万円以上に達した30代女性の関するもの。30代女性は子供が使用するスマートフォンの機種変更を行うために店舗を訪れたところ、現在の契約と最新機種に変更した場合の契約とで700円しか変わらないと勧められたために契約。その際、自宅のインターネット回線を利用すれば通信料無料、モバイルデータ通信機器も必要なときだけ利用し、使わない月は無料になると勧められタブレットとモバイルデータ通信機器も契約した。しかし、30代女性が契約後に、タブレットとモバイルデータ通信は不要であり、また、同時に購入したポータブル充電器も不要として、返品したい旨を同市に相談していた。

相談者の聞き取り後に、同市が相談者、販売店、KDDI支店を含めた4者面談を実施したところ、今後も消費者トラブルを招きかねない問題点があると同市が判断。当初の見積もりに付属品やオプション契約をセットにして提案する販売手法がとられていたこと、消費者の知識や経験を考慮なしに、一律にタブレット等の関連商品を勧誘していたことの2点について問題視した。

実際、30代女性に契約当初に提示された見積書には、スマートフォンの本体価格だけでなく、ポータブル充電器、カードリーダーが含まれており、通信費無料としていたタブレットにも通信機能がつき、その通信契約も行われていた。タブレットには、2年後から基本料金が発生する契約内容になっていた。さらには、契約したタブレットはAQUOS PADだったが、iPad miniであると誤認した状態だったいう。結果として総額12万円以上の物販契約を結んでいた。

相談を行った30代女性について、不要な契約は取り消しとなったものの、11月6日現在、KDDIは野州市の要望書に返答しておらず、回答に向けた準備を進めているという。