NTTドコモが従来の「spモードメール」を進化させた新メールサービス「ドコモメール」の提供を10月24日より開始した。同サービスでは、画面デザインが刷新されたほか、操作性も大幅に改善。また、新たにクラウド機能が追加され、今後、パソコンなど複数の機器からも利用できるようになる予定だ。本稿では、スマートフォン時代の新しいメールサービス「ドコモメール」の進化ポイントをチェックしていきたい。

NTTドコモが提供開始した新メールサービス「ドコモメール」

「spモードメール」との違いは?

ドコモメールは、スマートフォン向け「spモードメール」の操作性を改良したクラウド型メールサービス。メールアドレスは従来通り「@docomo.ne.jp」というドメインが使用されるが、送受信したメールが自動的にクラウド(ドコモのメールサーバー)に保存される仕様となっているのが特長。これにより、機種変更時のデータ移行や、端末紛失時のデータ復旧がより簡単に行えるようになっている。

なお、現時点での対応端末は、2013夏モデルの10機種、2013-2014冬春モデル2機種の計12機種のAndroidスマートフォンとなり、今後は段階的に対応端末を拡大していく予定。また、iPhone 5s/5cについては、12月中旬より対応する予定だ。

なお同サービスの利用料は無料だが、月額315円の「spモード契約」が必要となる。対応端末の詳細については同社Webサイトをご確認いただきたい。

Androidスマートフォン向けのドコモメールアプリでは、従来のspモードメールアプリと比べ、インターフェイスが大幅に刷新されている。フォルダ一覧画面はリスト型となり見やすくなったほか、メール作成画面では、本文だけでなく宛先や件名も確認可能。また、タブを切り替えるだけで、デコメを作成できるようになっている。

ドコモメールのメール作成画面。本文だけでなく宛先や件名も確認可能

メール作成画面のタブを切り替えて、デコメ絵文字の入力もできる

テンプレートを利用して、さまざまなデコメを作成可能だ

また、新着メールの通知からメールを閲覧するまでに、spモードメールアプリでは4回のタップが必要だったが、ドコモメールアプリでは2回のタップでメールを閲覧可能となっているなど、操作性も向上。さらに、アプリが軽快に動作し、快適に利用できるのも特長のひとつ。

もちろんファイル添付も可能。本文と合わせて最大約10MBのメールを送受信できる

ドコモメールの設定画面。テーマを変更して見た目のカスタマイズもできる

クラウド機能のどこがスゴい?

ドコモメールの最大の目玉は、クラウド型メールサービスとなったことだ。先述の通り、送受信したメールが自動的にクラウドに保存されるため、機種変更時のデータ移行や、端末紛失時のデータ復旧がより簡単に行えるようになった。

また、11月以降には「docomo ID」による認証に対応し、2台目以降のスマートフォンやタブレットでも同一のメールアドレスが使用可能となるほか、12月にはWebブラウザでの閲覧に対応し、パソコンなどのWebブラウザーからメールの送受信に対応する。さらに、2013年度中にはIMAPにも対応し、ドコモメールアプリ以外のメールソフトやメールアプリで「@docomo.ne.jp」が利用可能となる予定。

このように、キャリアメールながらパソコンやタブレットなどの複数端末(マルチデバイス)で利用可能となるのが特長で、キャリアメールとしては他社に先駆けて初のマルチデバイス対応となる。

ドコモメールのその他の特長と、他社サービスの状況

このほかドコモメールでは、扱えるデータ量も大幅に増え、保存容量はキャリアメールとして最大の1GB/2万件となる。また、送受信できるメールの最大容量は約10MBとなり、高画質画像や動画などの大容量データも添付しやすくなった。また、新たな迷惑メール対策サービス「迷惑メールおまかせブロック」も12月に提供予定となっている。

他社のキャリアメールの状況を見てみると、まずKDDIは2012年12月に「au one メール」の提供終了を発表した際、「2013年上期に携帯のEメール (○○@ezweb.ne.jp) をPCで利用できるようサービス拡張を予定」としていたが、その後、対応状況の発表はなく、マルチデバイス対応の全容は明らかになっていない。

また、ソフトバンクは「@softbank.ne.jp」という「S!メール(MMS)」をパソコンなどのWebブラウザから利用できる「S!メール(MMS)どこでもアクセス」の無料トライアル版を2013年8月29日より提供開始したが、同日に不具合改修によるサービス提供中止が発表され、サービス開始が遅れている。なお、同サービスの利用料は月額315円で、「基本パック」に加入している場合は無料で利用可能となっている。

また、今回ドコモメールがクラウド型メールサービスとして提供され、マルチデバイス対応となることで、今後はGoogleが提供する「Gmail」や、Appleが提供する「iCloudメール」などもドコモメールの競合サービスとなることが考えられる。Gmailなどと比較した場合、ドコモメールにとって強みとなるのが、フィーチャーフォンの頃から日本のユーザーに親しまれてきた「デコメ」に対応していることだ。ドコモメールアプリから簡単にデコメを作成でき、これまでのように多彩な表現でコミュニケーションすることが可能となっている。

ドコモメールの利用シーンを考える

現在、spモードメールを利用している人にとって、クラウド型のドコモメールにアップデートした場合、どのような利点があるのかはイメージしづらいかもしれない。そこで、ドコモメールの具体的な利用シーンを考えてみよう。

まず、もっとも便利になるのがスマートフォンを機種変更したときのデータ移行だ。新しいスマートフォンで以前の機種で送受信したメールを閲覧したい場合、従来はSDカードにメールをバックアップして移行する必要があったが、ドコモメールでは送受信したメールがクラウドに保存されているため、ログインすればすぐにメールが閲覧できるようになる。

また、スマートフォンやタブレット、パソコンなど複数の端末での利用が可能になるため、外出先ではスマートフォンでドコモメールを利用し、自宅でパソコンを使っているときは、パソコンからドコモメールを利用するといったことが可能だ。スマートフォンを鞄などに入れているときや、万が一スマートフォンのバッテリーが切れてしまった場合でも、パソコンやタブレットでメールの閲覧や送信が可能となる。スマートフォンのタッチキーが使いづらいという人でも、使い慣れたパソコンのキーボードで長文メールもスムーズに入力することができるだろう。

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NTTドコモが10月24日より提供したドコモメールは、従来のspモードメールを進化させたクラウド型のメールサービス。送受信したメールがクラウドに保存され、機種変更時などのデータ移行が簡単になるほか、11月以降にはマルチデバイスでの利用にも対応する予定。Androidスマートフォン向けアプリも刷新され、操作性や動作が改善し、より使いやすくなっている。

スマートフォンでは、GmailなどのWebメールサービスやLINEなどのチャットアプリも人気となっているが、フィーチャーフォンを含む携帯電話同士でのコミュニケーションでは、今なおキャリアメールの需要は高い。その点、「@docomo.ne.jp」のメールアドレスが使えるドコモメールがクラウド型メールサービスとなったことは革新的と言えるだろう。自身が利用中のスマートフォンがドコモメールに対応している人は、さっそくアップデートしてドコモメールの進化ポイントを確認してみてはいかがだろうか。