既報のとおり、カスペルスキーは11月14日より同社の2014年版製品「カスペルスキー2014 マルチプラットフォーム セキュリティ」を発売する。発売に先駆け、都内ではメディア向けの製品発表会が行われた。同社では2013年にデバイスではなく"人"を守るというコンセプトのもと、使用ライセンスを従来の台数ベースのカウントではなく"個人"に設定したプライベート版を設置したが、2014年版ではこれを"家族を守る"というコンセプトのもとファミリー版をラインナップに追加する。




カスペルスキー代表取締役社長 川合林太郎氏

カスペルスキー代表取締役社長 川合林太郎氏は、この"家族"を守るという新しいコンセプトについて、オンラインバンキングを狙うなど金銭に直結するような悪質なマルウェアや同社が先頃警鐘を鳴らしたIcefogなどセキュリティにおける現状に言及した上で、同社が掲げる「Save The World」というコンセプトを推し進めるべくラインナップに追加したことを述べた。川合氏はこの家族という構成単位をクルマにたとえる。

家族でクルマを選ぶ場合に、高性能なもの、荷物をたくさん詰めるもの、など家族のニーズを考えて選ばなければならないが、セキュリティソフトでは、これを実現することができる、とファミリー版を紹介した。ファミリー版の"家族"は、法律的な単位の家族に限らず、一つ屋根の下で生活するカップルなどのようなケースも含まれる。

製品ラインナップには、個人が持っているデバイスなら何台も守れるプライベート版、デバイス1台なら2年、デバイス2台なら1年守れるツインパックも加わる。製品ラインナップの詳細は以下のとおり。

製品ラインナップおよび標準価格(新規購入/税込)

パッケージ版 価格
1年ファミリー版 9,324円
3年ファミリー版 15,540円
1年プライベート版 7,140円
3年プライベート版 11,340円
1年1台ツインパック版 7,140円
ダウンロード版 価格
1年ファミリー版 7,790円
2年ファミリー版 10,480円
3年ファミリー版 12,980円
1年プライベート版 4,980円
2年プライベート版 7,980円
3年プライベート版 9,980円
1年3台版 6,400円
2年3台版 8,640円
3年3台版 10,800円

マーケティング本部プロダクトマーケティング部井手さとみ氏

続いて登壇した、マーケティング本部プロダクトマーケティング部井手さとみ氏からは「カスペルスキー2014 マルチプラットフォーム セキュリティ」は、第三者評価機関へ積極的に参加し、Windows、Mac、Android各プラットフォームでの検知力の向上を図っていることなどにも触れ、新製品のコンセプトを紹介した。金銭的な被害をもたらしかねない悪質なフィッシングやマルウェアに対応するためアンチフィッシングエンジンを強化し、ネット決済保護機能に従来のオンラインバンクに加え、主要ショッピングサイトも追加する。

新バージョンの特徴を、ライセンスやパフォーマンス、保護機能やカスタマイズと車にたとえてコンセプトを説明

Windows版では、ペアレンタルコントロールに加え、実行アプリケーションの制限機能も追加されており、同社が提供するホワイトリストに存在しないアプリケーションの起動を制限することで子供の勝手なアプリケーションの使用を防げる。脆弱性対策には「ZETAシールド」と呼ばれる標的型攻撃対策に同社が開発した技術が用いられるほか、ランサムウェアによるPCの不正ロック対策など広くセキュリティの課題に対応を図っていることを強調した。

製品管理本部プロダクトマネージャー保科貴大氏

同社製品管理本部プロダクトマネージャー保科貴大氏からは、OSごとの製品の概要についての説明があった。Windowsに関する機能では、ネット決済保護機能の強化とZETAシールド、実行アプリケーションの制限、不正ロック対策機能対策。Windows 8.1にも対応した新しいGUI、ペアレンタル機能の強化。Mac版では、リアルタイム保護機能、フィッシングサイトの防御、ペアレンタル機能、Retina対応などGUI、パフォーマンス向上などの改良に加え、Windows版に備わっていた「セキュリティキーボード」が搭載される。Androidでは、SNSを使ったフィッシングに対する防御も加わっている。

Windows版の新機能や特徴

標的型攻撃対策のために同社が開発したZETAシールド

Mac版でもリアルタイム保護などの実質的な機能向上が加わる

Android版ではフィッシングリンクを含むSMSの受信の警告も加わる

また、保科氏は特に、今年に入って日本国内でも懸念が広がるオンラインバンキングやショッピングサイトなど決済を狙う攻撃に対しては、同社のネット決済保護機能が複数のテクノロジーを使って統合的にチェックしていることを説明した。オンラインバンクやショッピングなど、オンラインでお金のやりとりが発生するサイトの場合、信頼出来るWebサイトであるかどうかの確認、通信接続の信頼の確認、PC側の脆弱性などローカル側での確認という3つの大きな柱があり、ネット決済保護機能では、この3つが個別に機能するのではなく、同期して多層保護を提供しているところにも特徴があるとした。

オンラインバンキングにおける三つのリスクを多層的に防御する