顧客満足度に関する調査・コンサルティングの専門機関J.D.パワーアジア・パシフィックは10月30日、「2013年日本携帯電話サービス顧客満足度調査」の結果を発表した。それによると、携帯電話サービスの顧客満足度はKDDI(au)が総合満足度トップを獲得。NTTドコモが「通信品質・エリア」「アフターサービス対応」の2ファクターでトップ評価となり、総合2位となった。本稿で詳細を紹介していく。

当調査は、全国の10地域(北海道/東北/北陸/関東/東海/関西/中国/四国/九州/沖縄)における携帯電話の個人利用者を対象に、携帯電話サービスの満足度を明らかにするもの。15回目となる今回は2013年7月にインターネット調査を実施し、総計31,200人から回答を得た。顧客満足度の測定にあたっては6ファクターを設定。それぞれに関連する詳細項目に対する評価を基に総合満足度スコアの算出を行っている。各ファクターの総合満足度への影響力は「提供サービス」(31%)、「通信品質・エリア」(21%)、「各種費用」(20%)、「電話機」(14%)、「アフターサービス対応」(8%)、「電話機購入経験」(5%)の順となっている。

キャリア間の差は縮まる

KDDI(au)は2年連続で総合満足度トップを獲得。「提供サービス」「各種費用」の2ファクターで最も高い評価を得た。顧客満足度第2位のNTTドコモは昨年同様「通信品質・エリア」「アフターサービス対応」の2ファクターでトップ評価となっている。第3位のソフトバンクは昨年トップ評価だった「電話機」に加え、今年は「電話機購入経験」においても最も高い評価となった。ちなみに昨年は総合満足度トップのキャリアとボトムのキャリアの差は33ポイントあったが、今年は7ポイント差にまで縮小している(KDDI(au)は558ポイント、NTTドコモは556ポイント、ソフトバンクは551ポイント)。

トップキャリアとボトムキャリアの差は縮まりつつある

調査結果を考察、各社の今後のネットワーク戦略に注目!!

「提供サービス」「各種費用」がトップ評価だったKDDI(au)では、「auスマートパス」が好調だ。同サービスでは月額390円でスマートフォンのコンテンツが使い放題になるほか、様々な会員特典が利用できる。また、固定通信サービスとのセットで利用料金が割り引かれる「auスマートバリュー」も支持されている。こうした施策により、各種費用の面で"お得感が強い"キャリアと認識されているものと思われる。ちなみに本調査は7月に行われており、この時点でKDDI(au)の提供するiPhoneは800MHzのプラチナバンドに未対応だった。これを考慮すると、今回「通信品質・エリア」では不利だったのかもしれない。

「通信品質・エリア」「アフターサービス対応」がトップ評価だったNTTドコモは、現在 LTEサービス「Xi」のエリア拡大・高速化を急ピッチで進めている。Android端末においては現在、東名阪を中心に150Mbpsに対応する基地局数が増加中だ。さらに10月に行われた記者説明会では、800MHz/ 1.5GHz/ 1.7GHz/2GHzの4つの周波数帯の電波を使った「クアッドバンド LTE」の概要を発表している。

俳優の渡辺謙を起用したCMで繰り返しアピールしている通り、同社のネットワークは今後ますます「Strong.」なものになっていくことが期待される。また、同社では毎年「ショップスタッフ応対コンテスト」を開催するなど、スタッフの育成にも注力している。こうした成果がアフターサービス対応の高評価につながったといえるのではないだろうか。今回の調査はNTTドコモがiPhoneを発売する前に行われたもの。今後の調査では、「電話機」についても評価が向上すると思われる。

「電話機」「電話機購入経験」においてトップ評価となったソフトバンク。しかし、これまでソフトバンクの強みになっていたiPhone独占販売の牙城は完全に崩れ去ってしまった。電話機の有無でユーザーを引き止めておくことができなくなったいま、次の一手に注目が集まる。同社では現在、ネットワークに関して「つながりやすさNo.1」を前面に出した広告戦略を打ち、また「SoftBank HealthCare」など、独自色の強いサービスを展開している。しかし、今回の調査結果では存在感を示すことはできなかった。9月からはiPhone 5s/ 5cの発売に合わせて「倍速ダブルLTE」を提供開始し、来春からは2.1GHz/ 1.7GHz/ 900MHzの周波数でLTEを利用できる「トリプルLTE」を提供する予定だ。

各社、「つながりやすさ」を押し出したプロモーションを大きく展開しているように、今後ネットワークがますます重要性を増すことが予想される。「通信品質・エリア」で1位を獲得したドコモをはじめ、利用者にどこまで使いやすいサービスと「つながりやすい」「高速化した」ネットワークをアピールしていけるか注目したい。