三菱UFJリサーチ&コンサルティングはこのほど、「2013年冬のボーナス見通し」を発表した。それによると、民間企業(パートタイム含む)の冬のボーナスは前年比0.5%増の平均36万7,500円とし、冬のボーナスとしては5年ぶりに増加に転じると予想している。
10月31日に発表された厚生労働省「毎月勤労統計」によると、2013年夏のボーナス(調査産業計・事務所規模5人以上)は前年比0.3%増の35万9,317円となり、夏のボーナスとしては3年ぶりに増加した。冬のボーナスは、夏のボーナスと比べて増加幅はやや拡大するものの、伸び率は小幅にとどまり、「リーマン・ショック後に大きく切り下がった水準から十分に回復することはないだろう」としている。
また、業績の好調な大企業では、夏に続いて冬のボーナスも増加する可能性が高いのに対し、収益環境の厳しい中小企業などでは、引き続きボーナスが減少する企業もあると見ている。
産業別に見ると、製造業は前年比0.6%増の46万8,000円と2年ぶりに、非製造業は同0.5%増の34万5,100円と5年ぶりに、ともに増加に転じる見通し。このうち、自動車など輸出型の企業をはじめ大企業製造業の中には、前年の水準を大幅に上回る企業もあると予想している。一方、非製造業を中心とする中小企業については、「物価への上昇圧力が強まる中、コストの上昇によって利益が圧迫されるため、ボーナスは伸び悩む可能性がある」としている。
ただし、中小企業においてもボーナスを支給する企業が徐々に増えると見られ、支給労働者割合は前年比0.3ポイント増の84.3%に上昇すると予測。さらに、雇用環境の改善を受けて、支給労働者数は同0.7%増の3,889万人に増加すると見込んでいる。なお、製造業については、1990年代以降、就業者数が減少傾向にあることから、支給労働者数は減少する可能性があるという。
2013年冬のボーナス支給総額(1人当たり平均×支給労働者数)は、前年比1.2%増の14.3兆円と予想。非製造業を中心に増加すると見ている。
なお、2014年4月の消費税率引き上げ後は、個人消費を中心に景気が一時的に悪化する可能性があり、企業の収益環境は再び厳しい状況に追い込まれる懸念がある。三菱UFJリサーチ&コンサルティングは「今後の景気動向に合わせ、年明け以降に始まる2014年春季労使交渉における2014年夏のボーナスを巡る動きが注目される」としている。
国家公務員の2012年冬のボーナスについては、前年比1.5%増の57万3,800円と、2年ぶりに増加に転じると予測している。