NTTドコモの2013~2014冬春モデルとして登場したAndroidスマートフォン「GALAXY J SC-02F」(サムスン電子製)は、GALAXYシリーズ初の日本市場に特化した製品。日本向けのデザインやカラーリングを採用したほか、同地域ならではの機能を搭載している。今回は、その中から「緊急時長持ちモード」を取り上げてみたい。
GALAXY J SC-02Fは、約5.0インチ フルHD(1080×1920ドット)の有機EL(Super AMOLED)ディスプレイを搭載したAndroidスマートフォン。CPUに2.3GHz・クアッドコア「MSM8974」を採用し、32GB/3GBのROM/RAMを備える。寸法・重量は約137×70×8.6mm・約146gで、バッテリ容量は2600mAh。OSはAndroid 4.3を採用する。
前述の通りGALAXYシリーズ初となる日本オリジナルデザインを採用した製品で、鮮やかな「Coral Pink」、高級感のある「Satin White」、宝石を連想させる「Lapis Blue」計3色のカラーバリエーションを用意。このほか、ひらがな、英語、数字を簡単に入力できる「8フリック」機能や周囲の環境にあわせた通話音量に設定する「アダプトサウンド」、見ている内容にあわせて画面の色彩を調整する「アダプトディスプレイ」といった機能も用意。
このほか、災害時などの利用を想定した電力消費を大幅に抑える「緊急時長持ちモード」という機能も搭載する。同機能は、地震や台風など自然災害が絶えない日本という土地にならではの機能と言えるだろう。そこで今回は、前述の通り緊急時長持ちモードにフォーカスしてみたい。
電池消費50%オフの省エネモードで、緊急時も安心
緊急時長持ちモードは、災害時などの緊急時で充電ができない場合に、少しでも待受時間を延長し、スマートフォンを利用できるようにするための機能。通常よりも大幅に待受時間を延長させることができ、災害時など電源が確保できない時に役立つ機能となっている。それではさっそく緊急時長持ちモードを起動するとどうなるか紹介していこう。
同機能を立ち上げるとまず、画面の表示がモノクロ画面となる。背景が灰色、文字は白抜きで表示されるかたちだ。さらに、これまで利用していたホーム画面が差し代わり、大きなアプリアイコンが並んだシンプルなデザインになる。ここに表示されるのは、ドコモの災害用音声お届けサービスや災害用伝言板を使うためのアプリ「災害用キット」や「ダイヤル」「連絡先」「SMS」「メール」「ブラウザ」など。任意のアプリ(選択できないアプリもある)を2つまで追加でき、最大9つのアプリを表示できる。
加えて、無線LANやBluetooth、GALAXYシリーズ独自のジェスチャー機能なども無効になる。さらに、アプリのバックグラウンド通信も無効化され、基本的には「自分が必要としたときだけ通信をする」という状態になる。
ここまで紹介したさまざまな設定変更の妙により、バッテリ駆動時間を大幅に延長する、というのが緊急時長持ちモードだ。ドコモ担当者によると、通常利用時と比較し、「最大50%の電力消費削減」を実現。画面オフの待受状態であれば「約5日間」利用できるという。ちなみに通常モードでも「2日以上」という実使用時間を実現しているとのこと(1日80分の利用を想定した場合)。
続いて、緊急時長持ちモードの利用方法について説明しよう。設定は簡単で、電源ボタン長押しで表示される電源オプションから「緊急時長持ちモード」を選択するだけ。元に戻す場合も、同様に電源オプションからモードをオフにする。ただし、緊急時長持ちモードから通常モードに復帰する場合は再起動がかかる仕様となっている。
なお緊急時長持ちモード設定後に、無線LANやBluetoothなどの通信機能を手動でオンにすることもできる。また、TwitterやLINEをホーム画面の任意のアプリに設定することも可能だ。個人的には、Gmailを設定したいと考えていたが、現時点では利用できないとのこと。ただし、ユーザーからの意見などを踏まえつつ、設定可能なアプリの拡充も検討していくとしている。
緊急時長持ちモードは、ディスプレイ上でモノクロ化するため画面キャプチャは、カラーで表示される。ホーム画面に設置可能なアイコンは9つで、これ以上追加できない |
追加アイコンをタップすると、追加可能なアプリが表示される。TwitterやLINEをインストールしていれば、こちらに表示される |
ちなみに、同機能を搭載している端末は、緊急災害情報のエリアメールを受信した場合に、緊急時長持ちモードの利用を促す通知が届くという。これにより、緊急時にスムーズに設定することが可能だ。
安心・安全をテーマにした日本発信の機能
緊急時長持ちモードは、ドコモとサムスンが企画を検討している中で生まれた機能で、日本側から韓国のサムスン本社に提案し、採用されたと機能だという。きっかけとなったのはやはり東日本大震災だが、日本は地震や台風など、自然災害が多い。
そのため、日本発信の「安心・安全」をテーマにした機能を投入したいという思いはドコモ側にも長くあり、その1つの成果が今回の緊急時長持ちモード。「日本では日常的に災害が身近にある国。ライフラインとなりえるスマートフォンを、少しでも長く使ってもらう。それが最初の着想だった」(ドコモ担当者)という。実は、サムスンの韓国本社のチームが日本に来るときにも、台風で飛行機が順延するといったことがあり、こうした緊急時長持ちモードの必要性は、比較的すぐに受け入れられたそうだ。
同機能は、GALAXY J SC-02Fのほか、同じく2013~2014冬春モデルとして発表された「GALAXY Note 3」に搭載されている。ドコモの過去機種への搭載や、今後の新モデルへの搭載については現在検討中とのことだが、今後もこうした日本発信の機能を、盛り込んでいきたいとしている。
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本稿で紹介した緊急時長持ちモードは、使わないですむのであれば、そのほうがよい機能だ。だが、いざという時に役立つ機能として、GALAXY J SC-02Fユーザーであれば、その存在は知っておきたい機能だ。