「子育てしながら仕事をそのまま続けるか否か」。その選択は、女性の社会進出が進む今もなお、出産を経験した母親にとって悩ましい選択だ。ここでは、出産後も子育てと両立しながら働くことを選択した女性に聞いた「私が働く理由」を紹介する。
出産後も働く理由として最も多かったのが経済的なもの。「出産前の共働き時代の生活レベルを落としたくない。老後も考えると貯蓄ペースも落としたくない。自由に使えるお金も欲しい。万が一のことも考えると働き手は多いほうがいいに決まっている」(36歳医療系専門職 3歳男児・1歳女児)、「夫のお金で生活するのは肩身が狭いし、無駄遣いもできないのでストレスになる」(40歳ライター 11歳女児・7歳男児)といったように、家計的に夫に依存せずに、自分で働いてでもより余裕のある暮らしを望む声は、働く母親のほとんどに共通した意見だった。
また、「経済的自由があるため、夫と対等でいられる。もしくは夫に万が一があった場合、保険以外の方法で子供を守ることができる」(37歳金融系専門職 5歳女児)など、離婚や死別などにより一人親になった場合の備えや、夫との対等な関係を維持するために仕事を続けていると考える人も多い。
仕事で得られるものは金銭だけではなく…
次に目立った回答として挙げられるのが「自己実現のため」。「産休・育休中に仕事がしたくてたまらなくなり、やっぱり自分は仕事が好きなんだなと再確認した」(36歳会社員 5か月女児)、「広い視野で社会に関わっていたいから」(40歳自営・会社役員 13歳・6歳女児)、「自分にとって今の仕事は天職。いろいろ悩むこともあるが、仕事を通して様々なことを勉強させてもらっている」(38歳医療系専門職 6歳・1歳女児)など、子育てを理由に自ら選んだ職や社会的地位を簡単には手放したくないという仕事に対する熱意を、出産後も変わらず抱き続ける女性も多かった。
さらに、仕事を続けることがかえって育児の気分転換になるという声も。「1人目出産後に退職したものの、0歳児と昼間2人っきりの生活は正直時間を持て余していた。子供との時間は今しかない、大切な日々を過ごしているのだと自分に言い聞かせながらも、やはり物足りない毎日。仕事を再開してそのようなストレスは一気に解消された」(36歳医療系専門職 3歳男児・1歳女児)、「家にこもっていると本当に閉じた世界にいる感じがする。外に出て他の大人と会話することが適度な気分転換になる」(38歳パート 5歳・3歳男児・3歳女児)。
その他、子供自身の自立のために、あえて部分的に育児を他人の手に委ねて働くことを選択したという人もいる。「赤ちゃんのころから保育園に入れていろんな人たちに触れさせ、親だけでは偏りがちな遊びや体験をさせたい」(40歳公務員 5歳女児・1歳男児)。
仕事と子育ての両立。決して簡単ではないものの、子育てしながら働く母親の多くは、単に経済的な理由だけでなく、それぞれに自立した考えを持つ女性が多い。