日本損害保険協会は25日、国際会計基準審議会(IASB)が6月20日に公表した国際会計基準「保険契約」改訂公開草案に対してにコメントを提出した。

IASBによる保険契約に関する国際会計基準(IFRS)の策定は、財務諸表の利用者にニーズに合った情報を提供し、企業間や国際間の比較可能性を確保する取組みであるとの認識のもと、同協会は同プロジェクトの開始から基準作成に積極的に協力してきたという。

このたびの改訂公開草案は、IASBの2010年公開草案に対する各種意見が具現化され、全般的に基準としての質は向上したと考えているというが、一方で要求される内容が複雑化しており、財務諸表作成コストが高まることや利用者の理解がかえって困難になることを懸念しているという。このため、同協会では改善が必要と考える点を中心にコメントを作成したとしている。

例えば、改訂公開草案では、金利変動による保険契約負債の増減を「その他の包括利益(OCI)」に計上することが求められているが、資産側の金利変動による増減が「純損益」で計上され資産・負債のバランスを欠くケースもあることから、事業モデルに応じ「純損益」で計上することも許容するよう要望しているとしている。

同時に、同協会では米国財務会計基準審議会(FASB)の保険契約の公開草案に対しても同様のコメントを提出している。なお、両公開草案は類似点が多いものの統一には至っていないため、両会計基準設定団体に対し差異縮小に向けた継続的な検討を要望しているとしている。