米Intelの日本法人であるインテルは28日、同社の新社長として江田麻季子氏が就任したことに関する記者会見を開催した。会見には前社長の吉田和正氏も同席し、新体制で挑むインテルへの期待を語っている。既報のとおり、同社は今年10月10日付にて、吉田氏から江田氏への社長交代を発表している。
今回の社長交代人事では、これまで代表取締役社長を務めていた吉田和正氏が退任し、新たに、インテル セミコンダクター(アジア・パシフィック地域統括)のマーケティング&コンシューマー・セールス担当ディレクターであった江田麻季子氏が、インテル日本法人の代表取締役社長に就任している。江田氏は日本法人の社長のほか、米Intelのセールス&マーケティング統括本部の副社長も兼任する。
江田氏は、2000年からおよそ10年間、インテル日本法人でマーケティングを担当しており、吉田氏とともにながく同社を盛り上げてきたひとり。2010年からアジア地域のマーケティングを担当したのち、今回、社長に就任している。そのため、成長著しいアジアを知りつつ、日本市場への理解も深い人物だ。
江田氏はアジアでの仕事の中で、「日本の産業、技術の強さ。ブランドも強い」といったことを改めて認識したと述べる。「日本の技術が、アジアの成長を支える役割は大きかった」とし、新社長として、「日本とアジア、さらに北米本社との連携を強くしていきたい。日本のメーカーとともに成長し、日本の技術をグローバルに展開し、世界を動かしていきたい」と方針を語った。
吉田氏も、「インテル日本法人の社長を勤めた10年で、ここ数年は、特にアジアの成長が著しい」と話す。そして、「アジアは、日本の市場を非常に意識している。だから日本の市場も、単なる国内市場だけという意味合いではなくなってきている。インテルにも転換期が訪れていた」とも話す。そして吉田氏は、「インテルは何のために日本で活動しているのか。それは、日本の顧客に高い付加価値を提供することが最大の使命だ。この転換期にどうやったら、日本の顧客にさらに高い付加価値を提供できるのか。以前から新しいリーダーが必要と考えていた。市場の転換はとても速く、遅れないように、アジアを知る江田と、2014年に向けたベストなタイミングで交代したかった」と、今回のこの時期での社長交代の理由を説明した。
最後に吉田氏は日本での活動で、同氏にとって最初の大きな仕事であり、最も大きな仕事でもあったとして、日本が大きな役割を果たしたという「Centrino」技術の立ち上げを振り返った。このCentrinoを搭載したノートPCの普及が、今でこそ当たり前となった、モバイルコンピューティングが世界中に拡がるきっかけとなったのはご存知の通り。「ちょうど、Intelのイスラエルチームが「Banias」(初代Pentium Mで採用されたCPUアーキテクチャの開発コード名で、従来のデスクトップ流用ではなく設計当初からモバイルにフォーカスした省電力CPUとして画期的だった)を開発し、モバイルコンピューティングに日本の環境が非常に適していた。Centrinoの立ち上げを日本で成功させることができたのは大きい」と回顧。「日本は技術による課題解決に取り組むには最適な市場。日本は今後も大きく成長していく」と期待を込めた。