五輪出場や日本代表を目指すジュニア選手から、全日本クラスの選手までが一堂に集う東京都・北区の「味の素ナショナルトレーニングセンター」。同施設内にあり、練習に励むアスリートたちが食事をする「SAKURA Dining」で特別メニューを味わうことができたので、その様子をレポートする。
自分に必要な食事をlet’s バイキング!
前回紹介したように、SAKURA Diningでは、日本オリンピック委員会(JOC)と味の素が共同で展開している栄養プログラム"勝ち飯"をアスリートに提供している。勝ち飯のコンセプト"目的に応じた食事"を通じて、アスリートは勝てる体作りにつながる食事の仕方や栄養摂取の方法をわかりやすく学んでいる。
早速、記者も勝ち飯を体験してみた。"目的に応じた食事"とのことなので、ひとまずは現状のスタイル維持を目的とし、脂っこい食事を避けつつ、野菜を多めに摂取することを意識した。
ということで選んだメニューが次の通り。
「ご飯」「豚のコチュジャン炒(いた)め」「モロヘイヤと豆腐の和(あ)え物」「にんじんしりしり」「長芋とえびのチーズ焼き」「野菜サラダ(バイキング形式:レタス、トマト、ブロッコリー、きゅうり、かぼちゃサラダ)」「キムチ」「野菜ジュース」
主菜には「鶏の塩唐揚げレモン風味」もあったが、揚げ物は自重した。デザートのケーキもカロリーを考えてパス。ドリンクは牛乳、オレンジジュースなどもあった。
いざ実食。豚のコチュジャン炒(いた)めはそこまでピリ辛ではなく、和風のテイストが強い。やや濃いめの味付けだったので、ご飯がすすんだ。長芋とえびのチーズ焼きは、長芋とチーズのマッチが絶妙。長芋本来の味わいが損なわれることなく、チーズによるボリューム感も感じられた。沖縄でよく食べられているというにんじんしりしりは、この日が初体験。細切りにされた食感のよいにんじんにツナ、卵が絡み、しっとりとした味わいがとても気に入った。
全体的に、一品一品がほどよく薄味で素材本来の味を楽しむことができた。ボリュームバランスも良く、7品完食でちょうど満腹となった。
記者のチョイスしたメニューの評価は……
同食堂の管理栄養士である古川由佳さんに、記者のメニューをチェックしてもらった。結果は、「ランチョンマットの通りにという意味では、汁物と乳製品が足りませんね」と駄目出し。汁物は置いてある場所がわからずにパスしてしまったが、ドリンクを野菜ジュースから牛乳に変えるだけで乳製品は摂(と)れたのに…。意識が足りなかった。
「ただ、スタイルを維持しようという点で野菜、特に色の濃い緑黄色野菜を多めに摂(と)られているのはいいのではないでしょうか」との言葉もいただいた。ふだんは野菜ジュースで済ませてしまうことが多いので、久しぶりに素材としての野菜のおいしさを満喫できた。
親子そろって食事を楽しむ参加者の方達 |
1年間営業する食堂で、栄養士が常に助言
同食堂は1年365日、必ず営業されており、食堂には管理栄養士・栄養士が常在。選手から食事・栄養に関する質問があれば、的確なアドバイスを送る。
また、選手たちが飽きないように、栄養価の高い旬の素材を使いながら毎日のメニューを考案。ジュニアの選手も多いことから、時にはハロウィーンに関連したイベントも開催するなど、楽しく食事を摂(と)ってもらうための工夫も凝らしている。選手たちの屈強な体は、同食堂で学んだ栄養学や、栄養士の方のこういった献身的な姿勢に起因している部分も大きいだろう。
2020年の東京では、同食堂から輩出されたオリンピアンたちがどれだけ躍動してくれるだろうか。「同じ釜の飯」を食べた人間として、早くも楽しみで仕方ない。