能年玲奈主演のNHK連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽を手掛けたことでも知られる大友良英が、『あまちゃん』と同時期に映画『受難』(2013年12月7日公開)の楽曲を制作していたことが25日、明らかになった。

映画『受難』

映画『受難』は、吉田良子監督がメガホンを取り、作家・姫野カオルコの直木賞最終候補作『受難』を原作とした作品。主演の岩佐真悠子が、修道院生活でつつましい生活を送るフランチェス子を演じ、彼女の身体的な変化を通じて、性と愛の本質に迫るという過激な内容と演出が話題となっている。

その音楽を大友が手掛けていることでも注目を集めていた中、このほど大友本人が制作秘話を披露。「実はあまちゃんの音楽をつくるのとまったく同じ時期に合間を縫って受難の音楽も作りました」と明かし、「われながら似てるなって思います。すいません」と全く違う世界観ながら、共通点があることをうかがわせた。「映画のおかげで、似たような音楽なのに全然違う世界に向けて扉をひらいてくれてます。ほっとしました」と新たな発見もあったようで、「扉の向こうはわたしの大好きな世界、みなさんも扉の向こうをのぞいてみてください」とコメントしている。

「映画が終わった瞬間、一体どんな音楽が流れるのだろう? という事から今回は考えていました」と言うのは吉田監督。その時に、大友の名が浮かび、「良いも悪いも滑稽も、美しいも醜いもいろいろなものが詰まったそんな楽曲。そういうものが映画の中で響いてくれたらうれしいとお伝えした覚えがあります」と当時を振り返った。完成した楽曲は、「とてもすてきでした」。「デモから実際の演奏、録音、ミックスと、工程を経るごとに変化し増殖していく様を見るのもとても楽しかった。『受難』の音楽は大友さん以外ありえません」と称賛の言葉を贈った。

大友は、ノイズミュージックやフリー・ジャズの分野で作品を発表する一方、さまざまなバンドでギターやターンテーブルを担当。映画音楽、テレビドラマの劇伴などの作曲も数多く手がけ、カヒミ・カリィや浜田真理子などポップシンガーのアルバムプロデュースも手がけている。そして、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の音楽で一躍注目の的に。現在、「大友良英あまちゃんスペシャル・ビッグバンド」を率いて全国でコンサートを行っている

(C)2013姫野カオルコ・文藝春秋/「受難」製作委員会