JR東海はこのほど、東海道新幹線の軌道回路設備のデジタル化が11月末に完了する見込みだと発表した。現在、最終段階として変電所の切替用開閉器を制御する軌道回路設備の工事に取り組んでいるという。
走行中の新幹線は、東西の変電所の供給エリアをまたぐ際、高速のまま電源を瞬時に切り替えている。これを行うにあたり、線路に流れる信号電流によって列車の在線有無を判別するのが「軌道回路」。JR東海は1999度から、軌道回路設備のデジタル化に着手した。
軌道回路設備のデジタル化は、マイクロエレクトロニクス(ME)技術の活用により、機械的なスイッチであるリレー接点を排除することで、故障頻度を低減し、常時監視や遠隔での故障内容の特定、処置などを行えるようにするのが目的。デジタル化で安定性が向上するほか、予防保全と異常時の早期復旧が可能になるという。
切替用開閉器を制御する軌道回路は、全線で80カ所。このうち、2005年にデジタル化されたATC軌道回路と一致する箇所を除き、切替用開閉器のみを制御している14カ所を新設備に切り替える。工事費は約10億円。