iPad AirやiPad miniなど、ハードウェア新製品の影に隠れてはいるが、新しいMac OS Mavericksの登場に合わせてiLife系ソフトとオフィススイートのiWorkがiOSアプリも合わせてアップデートされている。イベントではさらっと流されたこれらのソフトウェアのアップデートだが、実は結構大きなポイントがある。それはiCloudを利用したコラボレーション機能だ。

UI変更したiLifeソフトウェア

iLife系ソフトウェアではiPhoto、iMovie、Garagebandがアップデート。同時にiOS版もアップデートされた。アップデートは無料で、iOS版もiOSデバイスを購入した人に関しては無料で提供される。

まずはiPhotoから見ていこう。デスクトップ版のiPhotoには大きな違いはないが、撮影地情報で使われる地図はこれまでのGoogle MapからMavericks標準のマップが使われるようになった。

デスクトップ版のiPhoto。地図表示がMavericksのマップになった

大きな変化があったのはiOS版の方で、写真ライブラリからの表示やブラシのパターンやエフェクトの表示の仕方などが変更になっている。また今回からフラットデザインの採用によって、ブラシの効果などがわかりやすくなった。以前のバージョンではヘルプ表示が必須な部分があったが、今回はある程度画像加工ソフトを使っている人であれば使うことができるだろう。

iPad版のiPhoto。エフェクトの表示の仕方などUIに変更が見られる

iMovieはデスクトップ、iOSともUIが大きく変更され、これはどちらもフラットデザインになった。基本機能は変わっていないが、今までの操作に慣れていた人は戸惑うかもしれない。またプロジェクトの表示がデスクトップ版では左なのにiOS版では右と微妙に統一されていないのも気になるところだ。下部はタイムライン表示で、こちらに関しては分かりやすくなった。

デスクトップ版のiMovie。下にタイムライン、上にプレビューとプロジェクトになり、分かりやすくなった

iPad版のiMovie。デスクトップ版と違ってプロジェクトが右側だったりするが、基本UIは同じようになっている

GarageBandは以前のUIを残したものになった。一番特徴的な機能はドラマー機能だろう。ロック、オルタナティブなどの曲調に合わせたドラマーを選ぶことで、独特のパターンを呼び出すことができる。またタムを強く、キックを多めになどの指定もすることができる。この機能はデスクトップ版のみの機能になる。

ドラムに個性を持たせるドラマー機能。プレイヤーを選び、さらにシンバルを強調など指定することでオリジナルのパターンが作れる

他にはiCloudを使った連携機能が強化されている。iPhotoはPhotoストリームを使えば写真を同期することが可能だ。iMovieではiMovie Theater機能で、iOSで加工したものをデスクトップで読み込んで表示することができる。さらにGarageBandはiCloudへのアップロード機能が追加され、iCloudを使ってファイルのやりとりが可能になった。

iPadで加工した動画をiMovie Theaterに書き出すと、iCloudを介してデスクトップで見られるようになる

iPadから曲データをiCloudにアップロード。デスクトップ版で使う場合は変換する必要がある場合がある

iLife系に関してはUI変更がメインのようだが、一部追加機能なども見られる。それぞれのソフトウェアはいずれ別記事で詳細に解説したい。

コラボレーション機能がポイントのiWork

iWorkはワープロソフトのPages、プレゼンソフトのKeynote、そして表計算ソフトのNumbersからなるアップルのオフィススイートソフトウェアだ。今後、新しいMacあるいはiOS機器を購入した人にはこれらのソフトは無料で提供される。今回、やはり同じようにUIの見直しなどが計られているが、こちらにもiCloudを介したコラボレーション機能がある。

iWorkのファイルはそれぞれiCloudに保存することができ、iCloudを介して他のMac、あるいはiOS機器で同じファイルを利用できる。さらにiCloud.comにiWorkのWebアプリ(まだβ版でUIは英語)があり、こちらでも同じファイルを読み出すことができる。WebアプリなのでWindowsからでも利用可能だ。

iCloudを介して同じファイルを違う端末で開くことができる。Windowsでも利用できるので、デスクトップ作業はWebで、外出先ではiPadでファイルを修正といった使い方が可能だ

さらにMac版、iOS版、Web版のそれぞれのiWorkで同じファイルを開いて作業をすることができる。例えばMac版のPagesの画像を修正すると、同じファイルを開いているiOS版のPagesの画像が変更される。その他のソフトでも同じで、Numbersで表の数値を変更したり、Keynoteでトランジションを変更したりした場合もそれぞれの端末で反映される。つまりiCloudを介して異なる端末でコラボレーション作業が可能になるというわけだ。ただまだ十分な同期が取れるようにはなっていないのか、ときどきそれぞれの端末でファイルが異なるものになってしまうことがあるようだ。どのファイルが最新のものかを確認しながら作業を進める必要があるかもしれない。

デスクトップ版(上)で写真を差し換えるとiPad版(下)で開いたファイルに反映された。逆ももちろん可能だ

変更が同期できない場合、どちらを残すかを選択するようになっている。作業時にお互いが同時に作業しないなど、約束事が必要だ

iWorkに関しても今後、それぞれのソフトウェアを詳細解説する予定だ。

iCloudを本格的に活用し始めたアップルのソフトウェア群。単に無料というだけでなく使いやすく、さらにiOS機器のシェアが圧倒的に高いだけに、これらのソフトはキラーアプリになるかもしれない。まだ使っていない人は是非ともダウンロードして使ってみよう。