人件費や事業費が抑えられることから、対面型の販売方法をとる大手保険よりも、価格を抑えられるケースが多いと注目されているネット生保。ライフネット生命、アクサダイレクト生命、楽天生命の代表的な3社を例に、それぞれの沿革や商品の特徴などを見てみましょう。

保険料が安く、シンプルな商品

ネット生保の場合、人件費や事業費などのコストが抑えられる分、保険料が安いのが特徴です。店舗もなく、営業職員もいません。パンフレットや契約関連の書類などもペーパーレス化して、極力コストを抑えています。
例えば、条件を40歳男性で保険金3,000万円(死亡または高度障害)、保険期間10年、と近しい条件で保険料を比較した場合、従来の生保では月額10,000円を超えるケースが多いのに対して、ネット生保では月額7,000円程度に抑えられる場合が多いようです。

もちろん価格だけで保険会社の選択をするのが良いというわけではないですが、料金を重視して保険を検討したいという人にとってはネット生保は重要な選択肢のひとつになるかと思います。 また、ネット専用の商品は、保険の仕組みや商品内容が理解しやすいようにシンプルに作られる傾向にあり、多くの商品がわかりやすいというのも特徴と言えます。

ネット生保は時間・場所を問わない

「ネット生保」とは、インターネット上で生命保険商品の検討をして、申し込み手続きまでを行える生命保険会社のことを指します。 ネット生保の最大の特徴と言えるのは、時間や場所を問わないこと。セールスの人と時間や場所を決めて待ち合わせたりすることなく、いつでもどこでも、必要保障額を出したり、保険料を試算することができます。利用者は保障内容や保険料を見比べながら、自分自身で納得のいく契約ができます。

多忙で時間がない人や、出張などが多くてセールスの人との約束ができないという人などにはとても便利です。 また、自分で保険商品を探して決めたい人や、保険のセールスの方から提案を受けることが性に合わないという性格の方もいますが、そうした方にとってもいいチャネルと言えるでしょう。

電話やメールで相談もできる

ネット生保では、人を介さないため、よくわからないまま加入することになってしまうのではないかと心配する人もいるかもしれません。しかし、ネット生保の会社にも、保険のことが学べるコンテンツが充実しているほか、電話やメールで相談できる仕組みもあります。加入前でも、入ってからでも、相談したりわからないことを聞いたりすることができます。

ただし、自分で商品を調べて、理解・納得した上で加入する必要があるため、保険についての知識はある程度身につける必要があります。少なくとも、自分に合っている商品なのかを判断できる程度の知識は必要です。逆に言えば、勉強することで保険の知識が培われるといえるかもしれません。 加入後の見直しも自分で判断する必要があり、やはり、ある程度の保険の知識は必要です。

破綻時の保護制度の対象にもなっている

「ネット」というだけで不安に感じる人の中には、「破綻したらどうなるのかしら…」と心配する人もいるかもしれません。実はこの点は問題ありません。国内のすべての生命保険会社は「生命保険契約者保護制度」の対象になっています。これはネット生保であっても同じです。 この保護制度があるため、万一、経営破綻することがあっても、保険契約は別の保険会社に引き継がれ、契約は継続します。

代表的なネット生保の比較

ここからは、具体的にどんな特徴があるのか、代表的なネット生保3社のライフネット生命、アクサダイレクト生命、楽天生命を見ていきましょう。

<ライフネット生命>

DATA
  • 営業開始 2008年
  • 保険を学ぶコンテンツ「生命保険のキホン」
  • 必要保障額の試算コーナー 「あなたにぴったりのプラン選び」
    家族構成、生年月日、性別、就業状況(働いている、パート・バイト、専業主婦・学生・無職)、18歳未満の子どもの数、住居(持家か賃貸か)、気になる保障の6項目を選択・入力すると、提案プランの中に必要保障額として出てくる。
  • コールセンター時間  平日9時~22時、土曜日9時~18時(年末年始、日曜、祝日は除く)
  • 申込み手続き ネットで完結
  • 保険料支払い方法 口座引き落とし、クレジット払

ライフネット生命では、必要保障額の試算が比較的しっかりできます。保険を学ぶコンテンツも充実している印象です。コールセンターの時間が長めで、土曜もやっています。 ライフネット生命が扱っている商品は以下の4商品です。

いずれも保険料は割安です。医療保険は終身型と定期型があり、定期型にはがん・先進医療保障がついています。病気・ケガで働けないときに給付金が支払われる就業不能保険「働く人への保険」は、生保会社ではユニークな商品。医療保険と異なり、在宅療養でも給付金の対象になります。

<アクサダイレクト生命>

DATA
  • 営業開始 2008年(※当時の名称は「SBIアクサ生命保険」)
  • 保険を学ぶコンテンツ 特になし
  • 必要保障額の試算コーナー 「“保険初心者”のスマートな保険選び
    生年月日、性別、職業、結婚、子供、既婚の場合は奥様の職業の6項目を選択・入力すると、提案プランの中に必要保障額も含めた保険料見積が出てくる。「最低限」「おすすめ」「しっかり」の3項目がある。
  • コールセンター時間  平日月~金 9時~22時、土・日・祝日 9時~18時 (年末年始の当社休業日を除く)
  • 申込み手続き ネットで完結
  • 保険料支払い方法 口座引き落とし、クレジット払

アクサダイレクト生命では、保険を学ぶコンテンツが見当たらないかったものの、必要保障額の試算では「生年月日、性別、職業、結婚、子供、既婚の場合は奥様の職業まで」としっかり分類して試算し、3社では最も細かく試算できます。コールセンターの時間が長めで、土・日・祝日も営業しています。 アクサダイレクト生命が扱っている商品は以下の6商品です。

いずれも保険料は割安です。死亡保険では、定期保険と収入保障保険の2種類を扱っています(定期保険は保険金が一時金で支払われ、収入保障保険は分割で支払われるタイプ)。医療保険は定期型のみ。がん保険は定期型と終身型があり、終身型の「カチッと終身がん」ではがんにならなかったときに3年に1回祝い金がでる「ごほうびプラン」も。

<楽天生命>

DATA
  • 営業開始 2008年(※当時の名称は「アイリオ生命」)
  • 保険を学ぶコンテンツ 「生命保険を学ぶ」
  • 必要保障額の試算コーナー 「保険料の試算/お申込み」
  • コールセンター時間  平日月~金10時~18時、(土・日・祝日、年末年始除く)
  • 申込み手続き ネットで完結
  • 保険料支払い方法 口座引き落とし、クレジット払い(楽天カード使用で1%のポイントがつく)

楽天生命の試算機能は「性別・年齢」のみとシンプルです。必要保障額について詳しく知りたいときには「生命保険を学ぶ」コンテンツを見れば、自分に合った保障額の算出方法を知ることができます。コールセンターは平日のみ。保険料を楽天カードでクレジット払いすると、他のショッピング同様、1%のポイントが付きます。保険は数千円から1万円以上の金額を長期にわたって払い続けるものなので、長い目でみればかなりのメリットとなり、特に楽天のサービスを普段から活用している人にとってはお得な特典といえます。 楽天生命が扱っているネット向け商品は以下の4商品です。

いずれも保険料は割安です。死亡保険は定期保険のみ。終身型の医療保険に力を入れていて、3商品を展開。「楽天生命スマート」は一般的な終身型医療保険(日帰り入院から60日までの入院保障)。「楽天生命ロング」は継続した入院の61日目以降から給付金が支払われます(最長1095日まで)。「楽天生命ピンポイント」は1泊2日以上の入院で一時金10万円が支払われます。後者の2商品は他の医療保険にプラスアルファで加入して、保障を補強するタイプと言えます。