特急サンダーバードなどが停まる京都駅0番ホーム

京都の玄関口として、1日平均約63万人以上の乗降車数を数える京都駅。実は同駅のJR西日本在来線ホームが奇妙なことになっている。

0番ホームが存在する駅

京都駅在来線の中央口を抜けると、「0番」と表示された乗り場が見える。北陸方面に向かうサンダーバードなどが止まるホームだ。そして隣の乗り場の番号を見ると2番、3番……と続いている。そう、なぜか1番ホームが存在しないのだ。

その理由を説明する前に、そもそも「0番」ホームなどというものが存在することに違和感を覚える人もいるだろう。しかしこ、れは京都駅特有のものではなく、0番線及び0番ホームのある駅は、現在、全国に40ほどある。

その多くは、元々あった1番線ホームの手前に路線とホームが追加され、そこに「1」より小さい数字である「0」番を当てたパターンだ。全ホームの番号を新たに振り直すと、付随してダイヤから表示板まであらゆるものを変更する必要が生じるので、それを避けるために取られた策なのだ。

駅ビル工事による運転番線の改訂

さて、京都駅に1番ホームがない理由だが、まずは線路の方から説明しよう。1992年、駅ビル工事の一環で最も北側の線路をつぶし、かつてのホームを拡張。この時、運転番線(線路の番号)の改訂が行われたのだが、東海道新幹線の管轄である11~14番線の数字は動かせないため、JR西日本在来線11本の運転番線を10以内で収める必要があった。

1994年、4代目となる新たな京都駅ビルが完成

そこで「1」ではなく「0」からスタートして10までの数字を11本の運転番線に割り当てたわけだ。一方ホームの方は、1番から始まり2番、3番……と番号が振られていた。つまりこの時点では1番ホームは存在していたのだ。ただし、ホームは1番だがそのホームで利用する運転番線は0番という状態である。

利用者はホームの番号(○番線のりば)を判別できればいいのであって、運転番線は関係ない。だから、これで問題ないように思われたのだが、乗務員が誤ってホーム番号ではなく、運転番線を利用者に案内するケースが起こってしまった。そこで、やはり運転番線とホーム(のりば案内)の番号を一致させようということになる。

運転番線とホームを一致させたところ……

「それなら、ホームの方も0番、1番、2番……とナンバリングされているハズなのに、なぜ1番がないのか?」という疑問がまだ残るだろう。京都駅の0番ホームから2番ホームに向かって線路を見ると、0番ホームに入ってくる線路と2番ホームに入ってくる線路の間に、もう1本の線路が見える。

実はこれが運転番線1番の線路で、貨物列車通過専用線路として使われており、乗降ホームがないのだ。したがってかつての1番ホームを運転番線に合わせて0番ホームにし、次のホームは運転番線2番にあるから2番ホーム。こうして、0番から始まり、1番を飛ばして2~10番というホームの番号になったのである。

東海道本線の0番線と2番線の間に、貨物列車通過用の1番線が通っている

京都駅にはこんな日本一も

なお、この0番ホームは端から端までの距離が558mで日本一長いホームとしても有名である。ちなみに、厳密に言うと0番ホーム単独ではなく、ほぼ一直線上に地続きでつながっている山陰線30番ホームも含めての長さである。

京都駅0番ホームは長さ日本一のホームでもある

また、京都駅には34番ホームまであり、これも日本の駅の中で最も数字の大きいホーム番号となっている。ただし、決して京都駅に34もののりばがあるわけではなく、実際ののりばの数は19。関西空港線と山陰線のホームを、山陰線の“さん”にちなんで、30番台の数字にしているのだ。

こうしてみると、「実は自分がふだん使っている駅にも0番線があるかも」と気になってくるのでは? 駅を利用する際、ちょっと眺めてみると意外な発見ができるかもしれない!?