中小企業家同友会全国協議会は21日、2013年7~9月期の景況調査の結果を発表した。それによると、中小企業景気は4~6月期に続いて回復基調にあるものの、業種、地域、規模別に見ると差があり、不安定であることがわかった。
業況判断DI(「好転」から「悪化」を引いた割合)は前年同期のマイナス2からプラス10、売上高DI(「増加」から「減少」を引いた割合)はマイナス2からプラス9、経常利益DI(同)はマイナス5からプラス2と、いずれも改善。また、足元の景況を示す業況水準DI(「良い」から「悪い」を引いた割合)はマイナス9からプラス3と、調査開始以来初のプラスとなった。
業況判断DIを業種別に見た場合、建設業は前年同期のプラス12からプラス24、製造業はマイナス22からプラス1、流通・商業はマイナス1からプラス8、サービス業はプラス16からプラス15となり、製造業で若干遅れが見られた。
地域別に見ると、北海道・東北は前年同期のマイナス10からプラス17、関東はプラス6からプラス8、北陸・中部はマイナス15からプラス7、近畿はマイナス1からプラス1、中国・四国はプラス1からプラス7、九州・沖縄はプラス11からプラス22と、地方で大きく改善したのに対し、都市部であまり伸びなかった。
企業規模別では、20人未満は前年同期のマイナス8からマイナス3、20人以上50人未満はマイナス13からプラス5、50人以上100人未満はマイナス17からプラス12、100人以上は0からプラス17と、規模が小さいほど回復が遅れていた。
10~12月期の見通しについては、業況判断DIがプラス10からプラス15、売上高DIがプラス9からプラス14、経常利益DIがプラス2から7と改善が続く見通し。業況水準DIもプラス3からプラス5に改善すると予想している。
しかし、2014年1~3月期には業況判断DIがプラス15からプラス14に停滞すると見込んでおり、さらに併せて発表した「アベノミクス」と消費税引き上げの影響に関する調査では、増税後の2014年4月以降に43.4%が「景気の後退」を想定。駆け込み需要後の反動不況が懸念されている。
また、同調査でアベノミクスによる中小企業景気押し上げ実感の有無を尋ねたところ、約6割の58%が「感じていない」と回答。自社の業績に対しても「影響なし」と答えた企業が最も多く53%を占めた。アベノミクスについて「好影響を感じる」と答えた業種は、鉄鋼・非鉄金属製造業、総合工事業(官公需中心)などで多かったのに対し、食料品等製造業、運輸業などでは少なく、業種により大きな差が見られた。
同調査は、2013年9月5日~15日の期間に郵送にて行われ、952社から有効回答を得た。