佐藤浩市、地球の約1.4周分を移動「マイル、貯めれば良かった」

『亡国のイージス』(2005年)の作家・福井晴敏と阪本順治監督が、日本の歴史のタブーに挑んだ映画『人類資金』の初日舞台あいさつが19日、東京・丸の内ピカデリー1で行われ、佐藤浩市、香取慎吾、森山未來、観月ありさ、岸部一徳、オダギリジョー、阪本順治監督、原作と共同脚本を手掛けた福井晴敏が出席した。

映画『人類資金』の初日舞台あいさつに出席した観月ありさ

『人類資金』では、敗戦直前に旧日本軍が隠匿したといわれる謎の財宝を巡り、様々な陰謀や駆引きがスリリングに展開される。福井とタッグを組み、脚本も手掛けた阪本監督は「今までの映画になかった感動をしています」と充実感溢れる表情であいさつ。佐藤も感慨深い表情を浮かべ「何とかこの日を迎えることができ、ちょっと僕も感動です。みんながこの映画の完成に向かって疾走していました」と語った。

「慎吾に世界を救ってほしい」と阪本監督からオファーされたという香取。「台本を読んでも難しく、こんなに何度も読み直したのは初めてでしたが、本当にうれしく思いました。男だらけの撮影でしたが、今日は観月ありささんがいてくれた」。それを受けて観月は「緊張の連続でしたが、紅一点で華を添えられたのではないかなと」と笑顔を見せた。

海外からも、ユ・ジテ、ヴィンセント・ギャロといった大物スターが参加した本作。ユ・ジテからは監督やスタッフに向けた手紙が届いていた。その内容によると、彼は、韓国での金大中事件を描いた『KT』(2002年)で阪本監督を知り、人身売買や幼児売買春を描いた『闇の子供たち』(2008年)を見て感銘を受け、今回は脚本のない段階でのオファーを快諾したという。さらに「厳しい環境の中、体当たりで臨んだ役者の方々や、一枚岩になっていたスタッフの方にも感動しました」と、今回の阪本組全員をねぎらうものだった。全員がその文章に感動しきりの状態だったが、佐藤の「ヴィンセント・ギャロさんからは手紙、来てませんね」というひと言で、会場は大爆笑。また、身長188cmでがっしり体型のユ・ジテとの激しいアクションシーンに挑んだ森山は、「普通、アクションシーンはカットを割るんですが、監督の無茶ぶりで1分半くらい長回しでした」と恨み節。足の長い観月もユ・ジテを蹴るシーンでは相当苦労したようで「かなり高い位置にお顔があるので、キック、回し蹴りが大変! かなりの青アザを作りながら頑張りました」と苦笑いを見せた。

また、ロシア・ハバロフスクから、タイ・カンチャナブリ、ニューヨークの国際連合本部、日本と、4か国で撮影を敢行した本作ということで、佐藤の移動距離はなんと合計54,593km!地球の約1.4周分にも及んだ。その数字を聞いた佐藤は「マイル、貯めれば良かった」と笑いを取った後、「本当に頑張った映画です。応援してやってください」と猛烈にアピールして、舞台あいさつを締めくくった。