第26回東京国際映画祭オープニング作品『キャプテン・フィリップス』で来日中のトム・ハンクスとポール・グリーングラス監督が18日、東京ミッドタウンホールで開催された記者会見に登場した。
本作は、2009年にソマリア海域で実際に起きた人質事件を題材にしたサスペンス映画。ハンクスは、乗組員に代わり、海賊の人質となるベテラン船長リチャード・フィリップスを演じる。この船長とソマリア人の海賊たちとの駆け引きや、海軍特殊部隊NAVY SEALのスナイパーらを巻き込んだスリリングなドラマが描かれる。
今回、台風の影響で日本入りが遅れたハンクスたちだが、映画祭のグリーンカーペットには間に合い、17日には安倍晋三首相や三谷幸喜監督、役所広司らと共にカーペットを歩いた。「日本の監督さんや俳優さん、首相にまでお会いすることができた。僕に選挙権はないけど、それは別として、とても楽しかった」とおちゃめに語ったハンクス。来日は『天使と悪魔』(2009年)のキャンペーン以来4年ぶり、7度目となった。彼は、毎回通訳として同席する戸田奈津子のことを「ママ」と呼び、さらに戸田のメモ用紙を取り上げるといったイタズラ行動に出ると、戸田は照れながら失笑していた。
『ボーン』シリーズなど骨太な作品で知られるポール・グリーングラス監督は、困難を極めた海上での撮影をこう振り返った。「とても大変で、1日12~14時間かかった。大きな船の上だったが、非常に波のうねりを感じ、肉体的にも疲労が蓄積した。でも、映画製作において、困難はチャンスでもある。おかげで忠実に再現できたから良かった」。
その後、ハンクスが主人公ロバート・ラングドンを演じる『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの最新作『インフェルノ』に質問が及ぶと、ハンクスは「小説はとても素晴らしいし、映画を作ることは使命だと思っているが、映画については何も決定していない。まあ、ソニーは喉から手が出るほど欲しいだろうから、パスするようなことはしないだろう」と、ビッグスターならではのウィットに富んだ発言をした。実際に同作はソニー・ピクチャーズ配給の予定だ。
また、『キャプテン・フィリップス』はアカデミー賞への呼び声が高いが、同賞の授賞式についてハンクスは「楽しいパーティーに行くような感じだ。招かれたら楽しむよ」と、肩の力を抜いたコメントをし、会場を爆笑させた。本作は、11月29日(金)公開となる。