とらやは、WEBマガジン「ilove.cat」の協力のもと、9月25日から12月16日まで企画展「甘いねこ展」を開催している。場所は東京都港区の「とらや東京ミッドタウン店ギャラリー」。企画展では、猫を題材にした和菓子や猫の郷土人形を楽しむことができる。
猫の和菓子3種類
生菓子の「すませば」は、白餡を外良製の生地で包み、紅で色づけをした和菓子。白猫のかわいらしい耳の形をしている。販売期間は9月25日から11月4日。価格は473円。
竹皮包の特製羊羹「にけ」は、黒と白の二毛柄の猫をイメージした和菓子。煉羊羹と道明寺を使用している。販売期間は9月25日から12月16日まで。価格は3,623円。
生菓子のきんとん製「うたたね」は、まるまってうたたねをする三毛猫をイメージしたもの。白、茶、橙の3色のそぼろが使われている。11月5日から12月16日までの販売。価格は473円とのこと。※取材日の時点では未発売。
郷土人形も楽しめる
同企画展では日本の各地で作られた「ねこの郷土人形」が展示されている。招き猫などの人形は徳を招くと言われ、伝統工芸として古くから受け継がれてきたという。
ギャラリーでは色鮮やかな猫の人形を楽しむことができた。タコを頭にかぶった猫の人形などもあり、特徴豊かな人形たちが目に付いた。
企画展では猫にまつわる多くの書物も展示されていた。猫の写真集から猫の奇話を集めた古い書物まで実に様々で、訪れる人は自由に手にとって読むことができるようになっている。
お土産も満載!
そして、店内には猫にまつわるお土産も用意されていた。猫のてぬぐいや猫のワッペン、猫がモチーフの和菓子をデザインとしたシールなどが人気だそうだ。
また、同企画展はとらや東京ミッドタウン店内で開催されているため、当然ながらとらやの和菓子も購入することができる。代表的な羊羹など、高級なイメージのある同社の和菓子だが、手のひらサイズの小さな羊羹だと252円で気軽に買うことができるためオススメだ。ねこ展を訪れた際は、是非この機会に老舗の和菓子を味わってみてはいかがだろうか。
とらやの社員さんにインタビュー
今回の取材では、とらや東京ミッドタウン店ギャラリーの企画を担当されている橋本恒平さんにインタビューをすることができた。
――今回、猫をテーマとした企画展が実現したわけですが、そもそもなぜこの企画を実行しようとお考えになったのでしょうか?
「猫の和菓子をつくりたい」という想いがきっかけでした。地方で伝承されてきた民話や「枕草子」にも登場するほど、昔から日本人にとって猫は身近な存在でした。しかし、とらやの約480年の歴史のなかで、猫を題材に和菓子がつくられた記録が現在のところ残っていなかったのです(注1)。 猫が十二支に含まれていなかったり、鶴や亀のような「吉祥」としての意味合いが猫になかったりといった理由が背景にあるかと思います。そこで今回、「猫と和菓子」「猫と日本人」についての展示をしようと企画しました(橋本さん)。
――今回の企画展を開催してみて、お客様たちの反応はいかがでしたか?
特に新しく生まれた猫の和菓子は、多くの方に喜んでいただいています。企画協力もしていただいたWEBマガジン「ilove.cat」さんのデザインをもとに、とらやが培ってきた技で形にした和菓子なのです。自分自身、猫がとても好きということもあって、和菓子の見た目があまりにかわいいと、かわいそうで食べられなくなってしまいそうで(笑)、どうデザインすべきかという点には特に注意しました。結果として、全体的に抽象的な見た目になりましたが、実は同時にそれは、和菓子のデザインの特徴のひとつでもあるのです。
――というと?
外良製『すませば』は、一見猫の耳だということがわからないかもしれませんが、『すませば』という菓銘(和菓子の名前)を聴いた瞬間「あ、これは猫の耳なんだな、何の音を聞いているのかな?」と理解し、イメージが拡がります。
特製羊羹『にけ』やきんとん製『うたたね』も同様です。余白を残したデザインにすることで、「味」はもちろん、「菓銘」や「ストーリー」も味わいながら、見た方それぞれに想像を膨らませていただく。すると、同じ和菓子でも人それぞれ、一味違ったように感じられます。
それが「五感の芸術」ともいわれる和菓子の面白さの一つなんですね。もちろん、そういったことを抜きにして、一口でパクッと食べるのも、それもまた豪快な美味しさがあります(笑)。皆様の趣向で、自由においしく楽しく召しあがっていただけると嬉しいです。
――最後に、これから「甘いねこ展」を訪れるお客様に対して一言お願いいたします。
今回の企画展には、これまでとらやにいらっしゃったことのない初めてのお客様がたくさん訪れています。和菓子にあまり触れることがないお客様でも、五感で楽しめるにぎやかな企画展となっております。展覧されている様々な猫たちをきっかけに、是非和菓子を楽しんでください。
――ありがとうございました。
■甘いねこ展
場 所:とらや東京ミッドタウン店内 ギャラリー
東京都港区赤坂 9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア地下1階
期間:9月25日から12月16日
時 間:11:00から21:00
(注1)虎屋 WAGASHI・HAUTE・COUTURE(とらや赤坂本店・とらや京都一条店にある、和菓子オートクチュールコーナー)で作った和菓子を除く。