ソニーは10月16日、レンズ交換式デジタルカメラ「α7」「α7R」およびコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット(Cyber-shot) DSC-RX10」の報道関係者向け発表会を都内で開催した。
いずれも同日に発表されたデジタルカメラの新製品。α7とα7Rはミラーレス一眼として初となるフルサイズCMOSセンサーを搭載するモデルで、DSC-RX10はソニーの展開するコンパクトデジタルカメラ「サイバーショット」でも高級機に位置付けられる「RX」シリーズの新モデルだ。
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独自性のある製品でないと生き残れない
発表会ではまず、ソニーの業務執行役員 SVP イメージング・プロダクツ&ソリューションセクター 副セクター長でデジタルイメージング事業本部 本部長を務める石塚茂樹氏が登壇した。
石塚氏はまず、昨今のデジタルカメラ市場を取り巻く状況を説明。スマートフォンなどに押されがちな低価格・普及価格帯のコンパクトデジタルカメラをビデオカメラと括って「成熟セグメント」と評した。一方で、同社が展開する「RX」シリーズなどの高級コンパクト機や「α」「NEX」などのデジタル一眼市場を「成長セグメント」とし、「今では一台で静止画と動画を撮れることが当たり前で、独自性のある製品でないと生き残れない」と差別化の必要性を強調。
成熟市場においては「アクションカム」や"レンズのみ"スタイルでスマートフォンに装着できる「DSC-QX100」「DSC-QX10」などで新たな市場を創造する一方、高画質・高性能な「RX」シリーズやデジタル一眼市場に注力する姿勢をみせた。
「RX」シリーズは単価が高いこともあり、ソニー製コンパクトデジタルカメラの平均単価推移は市場平均より約30%も高い。このこともあり、コンパクトデジタルカメラ市場におけるソニーの金額シェア向上に、「RX」シリーズは大きく貢献しているという。
その高画質・高性能な「RX」シリーズの新モデルとして、DSC-RX10が紹介された。石塚氏は24~200mm(35mmフィルム換算時)の焦点距離全域において開放F2.8を実現した本機について、「レンズ交換式カメラで24~200mmという広角・望遠をカバーしようとすると複数のレンズが必要で、重装備になってしまう」と説明。一台で広角から望遠まで幅広いレンジの撮影を大口径レンズで行えるDSC-RX10の意義を強調した。
「α」ブランドをエントリーユーザーからプロまで満足できるものに
成長セグメントのもう一方であるレンズ交換式カメラにおいては、従来はAマウントが「α」、Eマウントが「NEX」という呼び名でユーザーに親しまれてきたが、これを統合。今回発表したα7とα7Rから再度、AマウントとEマウントいずれにおいても「α」というブランド名を前面に押し出す。石塚氏は「統合された『α』ブランドでエントリーユーザーからプロフェッショナルまで満足いただけるようにする」と述べた。
その「α」ブランド統合の第一弾として、ミラーレス一眼として初めてフルサイズCMOSセンサーを搭載するα7とα7Rを紹介した。特にα7Rに搭載された光学ローパスフィルターレスの有効3,640万画素Exmor CMOSセンサーについて、石塚氏は「イメージセンサーのリーディングカンパニーとして解像感のあるセンサーを開発した」と自信をみせた。
発表会後に設けられた質疑応答の時間では「フルサイズセンサー搭載機のフォーマットとして、なぜトランスルーセントミラー・テクノロジーを用いた従来の一眼レフタイプではなく、ミラーレス機にしたのか」という質問があった。これに対して石塚氏は「フルサイズセンサー搭載機は大きくて重いという声があり、一眼レフタイプよりミラーレス機の方が小型・軽量化に適していた」と開発の動機に言及。
石塚氏は「『α』ブランドを強化し、一眼カメラの新たな世界を切り開きたい」と締め、新製品に自信を覗かせた。