東京商工会議所は15日、東京23区内の中小企業を対象に実施した賃金・雇用の状況に関する調査結果を発表した。それによると、2013年4~7月に前年同期より賃金総額を増やした中小企業は35.3%で、約3社に1社に上った。

同調査は、2013年8月19日~9月13日の期間に職員による聴き取り・FAXなどにて行われ、東京商工会議所会員企業を中心とした中小企業等2,628社から有効回答を得た。

2013年4~7月に支払った賃金総額を前年同期と比較したところ、賃金総額を「増加した」企業は約3社に1社となる35.3%。一方、「減少した」は16.4%、「変わらない」は48.4%だった。

従業員規模別に見た場合、すべての規模で、賃金総額が増えた企業数が減った企業数を上回った。しかし、6人以上の企業では「増加した」が4割~5割に達したのに対し、5人以下の企業では20.9%にとどまり、東京商工会議所は「小規模事業者には賃金総額を上げるのは厳しい状況」と分析している。

2013年4~7月に支払った賃金総額と前年同期(2012年4~7月期)を比較した際の増減(出典:東京商工会議所Webサイト)

業種別に見ても、すべての業種で、賃金総額が増えた企業数の方が減った企業数より多いことが判明。特に建設業は増加した企業が39.2%と、減少した企業(10.2%)の約4倍となり、震災復興や駆け込み需要の増加などが影響したと推察される。一方、製造業は増加した企業が36.4%になったものの、減少した企業も22.3%と多く、23区内は「製造業の中でも国内で競争が激しい印刷関係や電子部品製造が、比較的多い」状況がうかがえる。

このほかの業種については、卸売業は37.5%、サービス業は35.5%、小売業は22.3%で賃金が増加したと回答した。

賃金総額が増加した要因を見ると、「毎月支給の基本給を上げた」の64.1%、「一時金(賞与)を増額した」の37.0%などが多く、従業員にとって収入増となる「賃上げ」が77.8%を占めた。一方、「正社員を増やした」の31.5%など、人員増を要因として挙げたのは41.6%となったほか、賃上げと人員増の両方を実施した企業も23.3%あった。

賃金総額の増加率については、「5%未満」が最多で53.5%。次いで、「5%~10%未満」が30.6%、「15%以上」が8.3%、「10%~15%未満」が7.5%となり、1割以上増えた企業は15.8%に上った。

また、賃金総額の増減に関わらず「毎月支給の基本給を上げた」企業は29.7%。このうち、21人以上の中小企業では49.8%が基本給を上げていたのに対し、20人以下の小規模事業者では20.5%にとどまった。なお、1人当たりの平均増加率は4.3%だった。

一方、賃金総額が減少した企業に減少要因を聞くと、定年による人員減を補充しないなど「正社員を減らした」が37.7%でトップ。以下、「一時金(賞与)を減額した」が32.1%、「毎月支給の基本給が減少した」が23.1%と続いた。