『アンパンマン』シリーズの生みの親である漫画家、絵本作家のやなせたかし氏が13日午前3時8分、心不全のため都内の順天堂病院で死去した。94歳だった。
やなせ氏が会長を務めていた日本漫画家協会の公式サイトによると、葬儀は近親者のみで執り行われ、後日偲ぶ会を予定しているという。
やなせ氏は、1919年(大正8年)東京都生まれ、高知県出身。東京高等工芸学校図案科(現・千葉大学工学部)を卒業後に高知新聞記者、三越宣伝部のグラフィックデザイナーの経て、舞台装置の製作や放送作家、作詞家、編集者などさまざまな分野で活躍。1961年いずみたく作曲の『手のひらを太陽に』を作詞、1969年にラジオミュージカルとして制作したものを絵本化した『やさしいライオン』を刊行。こちらは1970年に虫プロダクションでアニメ映画化を果たしている。
代表作となった『アンパンマン』は、1973年の月刊絵本『キンダーブック』10月号(フレーベル館刊)に初登場。当時『あんぱんまん』はひらがな表記であり、やなせ氏初の幼児向け絵本となった。そして、1975年にキャラクター名を片仮名に変更した続編の絵本『それいけ!アンパンマン』を出版。1988年にTVアニメ化を果たし、2013年現在も多くの子どもたちに親しまれている。1990年には『アンパンマン』で日本漫画家協会賞大賞、1991年には勲四等瑞宝章を受章、1995年には日本漫画家協会賞文部大臣賞を受賞している。
今年11月には漫画家、絵本作家、詩人、編集者とさまざまな分野で活躍してきたやなせ氏の活動の集大成となる一冊『やなせたかし大全』の発売が予定されている。また、やなせ氏は、今年7月に公開されたシリーズ通算25作目のアニメーション映画『それいけ!アンパンマンとばせ希望のハンカチ』の初日舞台あいさつに出席して元気な姿を見せていた。本作のテーマに希望を掲げ、「ハンカチを三角に折って端を持ち、もう片端を自分の隣の人に持ってもらえれば、すべての人がつながることができるのだ」と話していた。