『亡国のイージス』(2005年)の作家・福井晴敏と阪本順治監督が再タッグを組んだ『人類資金』のプレミア試写会が10日、東京・有楽町マリオンで開催され、佐藤浩市、香取慎吾、森山未來、石橋蓮司、寺島進、三浦誠己、岸部一徳、阪本順治監督、原作と共同脚本を手掛けた福井晴敏が、レッドカーペットを歩いた後、舞台あいさつに立った。
『人類資金』は、敗戦直前、旧日本軍の手により隠匿された財宝「M資金」を巡る社会派サスペンスだ。本日登壇した佐藤ら俳優陣の他、仲代達矢、観月ありさ、豊川悦司、オダギリジョー、ユ・ジテ、ヴィンセント・ギャロなど、国内外の豪華キャストが本作に参加した。極寒の地ロシア・ハバロフスクから、猛暑のタイ・カンチャナブリ、ニューヨークの国際連合本部、日本と、4か国で撮影を敢行した。
最初に阪本監督が力を込めてこうあいさつ。「M資金に興味を持ったのは今から33年前。7年前に福井さんに原作をお願いし、今日に至ります。この映画は自分の終着点かなと。おろかしいほど愚直に、荒っぽくやりました」。佐藤は苛酷な撮影を振り返り「予備日が一切なかったので、ドキドキしましたが、完走できて良かったです。ハバロフスクが-20度。その後、タイで+40度。寒暖差60度です。逆だったら、高齢のスタッフはかなり厳しかったんじゃないかと」と、感慨深い表情を浮かべた。
香取は謎の男M役ということで、「演じたのはMです。普段はSなんですが」と笑いを取り、「錚々たる方々の中で、一生懸命Mを演じさせていただきました。先輩たちばかりで、未來くんにだけ先輩面をしました」とおちゃめ発言。森山も「こんなツワモノたちと肩を並べて、演じさせていただいたことを誇りに思っています。本当に熱量の詰まった映画になっています」と熱く語った。
映画の製作資金が潤ってないまま撮影をスタートしたという本作だが、なんとクランクインはアメリカの国連本部でのシーンとなった。佐藤は「とりあえず撮っちゃうってことでしたが、監督を止めたいくらいでした。もし、国連の撮影だけになったら『国連』という短編にすると監督が言われて」と仰天のコメントをすると、阪本監督も苦笑いしながら「そう言うしかないかなと。でも、それで手を上げてくれる人たち(スポンサー)が続々と集まりました」とのこと。原作者の福井は、本日行われたノーベル文学賞を絡め「ノーベル文学賞というよりも、本作はノーベル平和賞を狙える作品です」とちゃっかり便乗アピール。全員の熱意が伝わってきたプレミアとなった。『人類資金』は10月19日(土)より全国公開。