田中氏は、今後データセンターで取り組んでいきたいファシリティについて、「外気を使わないデータセンターを試してみたい。外気を使うのは単純だが、ファンが多く、たくさんの空気を動かさないといけないため、ロスも多い。今後は、通常の空調設備を使いながら、PUEが1.1を切るような取り組みもやっていきたい」と述べた。

また、IaaSの競合であるAWS(Amazon Web Services)については、「AWSも人気があるが、最初に利用するIaaSサービスとしては、弊社のサービスを利用するほうが多い。いかに小口顧客の入口を捕まえるかが非常に重要だ。そのため、最初の入り口をAWSにしないというのが、弊社の重要な戦略となっているが、その面では成功している。ただ、規模が大きくなってAWSに移行されるお客様もいるので、今後は、より規模が大きなサーバへの移行プランを充実させていきたい。現在、共用サーバから専用サーバに簡単に移行できるツールの開発も行っている」と語った。

さらに、「弊社が5-10年でGoogleの規模になることは不可能だが、1つのデータセンターの規模では大きな差はない。重要なのは、1つのデータセンターに集めることだ」と述べ、スケールメリットを生かすポイントは、データセンターの数ではなく、個々のデータセンターの規模だという認識を示した。

そして、同社のサービスの強みについて田中氏は、「以前は、PCサーバとオープンソースを使って他社よりも安く提供するのが当社の強みだったが、PCサーバとLinuxが一般化していく過程においては、自社でサーバをつくることが強みになった。それにより、他社が1ラックあたり20台のサーバを搭載する中、40-50台を収容し、他社さんよりもコストを下げることができた。その後、都市型データセンターを強みにしてきたが、他社が都市部にデータセンターを構築するようになり、現在は郊外に安価なデータセンターをつくることが強みになりつつある。しかし、これも5年もすれば一般化してくるので、次に何を強みにするのかが課題になっている。そんな中、HVDCや高温超電導直流送電などを研究している。また、分散ストレージもノウハウが重要になるので、今から評価しており、新たな競争力を生むと思っている」とした。