また同社は今年の3月、高温超電導直流送電システムを試作し、実系統等から直流による通電試験を行う「高温超電導直流送電システムの実証研究」を経産省から受託している。これは、超電導直流送電システムを使って、送電時のロスをなくすための取り組みだ。
高温超電導直流送電システムとは、新たに開発された高温超電導材料により、液体窒素温度(摂氏マイナス196度)で超電導特性を得ることができる送電システム。実証実験では、約500mと2km以上の2つの送電システムを石狩市石狩湾新港地域に設置。約500mのシステムは太陽光発電設備からの送電確認を行い、2km以上では交流変電所等からの送電システムを設計・製作し、送電ケーブルの敷設および冷却システムの建設を行う。 送電容量はいずれも50MW程度。実験期間は2013年4月~2015年3月の2年間で、実際の設備と連携するシステム構築により、将来の長距離送電システムを早期実用化するために技術的、制度的課題を抽出する。
北海道は太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーが豊富にあり、この事業の成果を生かすことにより、北海道を縦断する200km以上の送電システムや、多様なエネルギーソースを活用する「スマート・コミュニティ」を展開することが将来可能となるという。また、石狩湾新港地域を世界最先端の超電導技術の発信基地とすることも検討している。
そのほか、同社はインテルと共同で分散ストレージの研究も行っており、石狩データセンター内で、現在実験中だ。今秋には、正式なサービスとして提供する予定で、主な用途は、アーカイブ(データ保存)とバックアップだという。
田中氏は分散ストレージについて、「1ビットをもっとも安価に保存できるデータセンターを目指しており、1FLOPSのあたりのコストにもこだわっていこうと思っている。現在、プロセッシングやストレージにおいて、インテルさんの協力を得ながら勉強しており、そのテストベットとして石狩データセンターを活用していこうと思っている」と述べた。
また、インテル クラウド・コンピューティング事業本部 データセンター事業開発部 シニア・スペシャリスト 田口栄治氏は、「石狩データセンターは、世界のデータセンターに対抗できるファシリティを持っている。ただ、今後はファシリティの効率化とともに、ITの効率化も追求していかなればならない。そうすれば、相乗効果で競争力の高いものが生み出すことができる。インテルはさくらインターネット研究所とともに、最新技術の可能性を追求している。その1つの成果として、分散ストレージがある。インテルはクラウド型のアーキテクチャを進化させることによって、今までにない効率的な基盤を提供しようとしており、その方向性がさくらの石狩データセンターで実証できつつある。クラウドの向かう先は、Software Infrastructureで、負荷に応じてハードウェアリソースをソフトウェアで最適化することだ。そのリファレンスを作っていくことをインテルは担っている」と語った。