同データセンターでは、外気冷房を全面的に導入しており、データセンターのエネルギー効率の指標であるPUE(IT機器が使用する電力消費量に対する、データセンター全体の電力消費量)は、通年で1.11、夏季に従来型の空調運転を行った場合でも1.21を実現する。外気冷却では、外気だけでなく、サーバからの排気と混合させることで、季節に合わせた最適な温度管理を行っている。また、サーバの廃熱は、事務所の暖房や敷地内の融雪にも利用されている。

現在、サーバ冷却用の空調は、外気のみ、外気+サーバ排気、サーバ排気の循環、外気+加湿の4パターンがある。もっとも多いのが、外気のみを利用するケースで、外気+サーバ排気は、外気温が低いときに外気にサーバの排気を混合し、温度を高めて利用する。サーバ排気の循環は、外気を一切使わず、サーバからの排気を水で冷やして再利用する方法だ。夏場や湿度が高い場合に利用するという。そして、外気+加湿は、湿度が低い場合に(特に冬場)利用し、外気に加湿して利用する。

田中氏によれば、温度管理よりも湿度の管理のほうが難しいという。同データセンターでは、これら4つを使い分けることで、8割の空調用電気代を節約している。

サーバルーム。サーバの冷却には、試験的に壁吹き出し方式、天井吹き出し方式、ラックの前後列通路を両方ともに覆い、冷気を囲い込むアイルキャッピング方式の3つが導入されたが、アイルキャッピング方式がもっとも効率が高かったという。そのため、工事中の2号棟はすべてアイルキャッピング方式にする予定だという。写真は左が天井吹き出し方式、右がアイルキャッピング方式

外気冷房の概念図。水色の線が外気の流れ、赤い線がサーバからの排気、グリーンが加湿、青が冷気

建物外側にある外気の吸気口

こちらは排気口

吸気口の内側にある防塵フィルタ(通路右側の壁面)

海が近いことから、防塵フィルタの内側には防塩フィルタがある。左の計器はフィルタの詰まり具合を計測するもの