ワコムがリリースしたOS搭載液晶ペンタブレット「Cintiq Companion」シリーズは、外出先でも高機能な液晶ペンタブレットで作業を行うことができる製品。Windows8搭載モデル「Cintiq Companion」と、Android搭載モデル「Cintiq Companion Hybrid」の2種展開となっているが、どちらが自分に適しているのか、まだ検討中のクリエイター多いかもしれない。

今回は、OSの違いによる使用シーンや機能の違いなど、両機種の持ち味やどういった時に導入すべきなのか、情報をまとめて紹介する。

作業を「外で全部やる」か「仕上げは家でやる」かが分岐点

「Cintiq Companion」の導入を考えているクリエイターは、その理由として「外でもCintiqを用いて作業したい」という思いがあることと思う。だが、外出先での作業工程をどこまでと捉えているかで、導入すべき機種は変わってくる。

出先ですべての作業を完了させる必要があるなら、Windows8版の「Cintiq Companion」が適している。Windows8を搭載しているため、「Photoshop」や「CLIP STUDIO PAINT」などクリエイター御用達の描画ソフトをインストールし、出先でアトリエや自宅に整えた環境とほぼ同等の状態を再現できる。「Cintiq Companion」は、液晶ペンタブレット「Cintiq 13HD」とPCが合体した機器だと例えることもできるだろう。

Windows8搭載の「Cintiq Companion」

一方、外出先では途中までの工程を行い、仕上げは自宅の環境で整えるというスタイルを取るのであれば、Android搭載の「Cintiq Companion Hybrid」が真価を発揮する。同機種は、外出先など独立して使う場合にはAndroid 4.2で動作するが、PCに接続すると液晶ペンタブレットとして使うことができる「デスクトップモード」を備えているからだ。こちらは、例えるなら「Androidタブレットとしても使えるCintiq 13HD」といえるかもしれない。

Android4.2搭載の「Cintiq Companion Hybrid」

また、ワコム純正の描画アプリが2種類搭載されており、どちらもPCでの仕上げ作業を考慮した機能が搭載されている。レイヤー機能もあるイラスト描画アプリ「Wacom Creative Canvas」は、描画データをPSDファイルで書き出せるため、仕上げをPhotoshop上で行うことができる。一方、漫画のネーム作成用アプリ「Wacom Manga Canvas」は、データをセルシスの漫画・イラスト描画ソフト「CLIP STUDIO PAINT」に受け渡すことが可能だ。

イラスト描画アプリ「Wacom Creative Canvas」

漫画のネーム作成用アプリ「Wacom Manga Canvas」

ハード面の違いは一部の端子に

「Cintiq Companion」も「Cintiq Companion Hybrid」も、液晶ペンタブレットとしてのスペックは同一だ。多くのプロが現場に導入しているペンタブレット「Intuos Pro(従来のIntuosシリーズ)」と同じ2048レベルの筆圧機能を備えているため、プロフェッショナルの仕事に十分対応できる。加えて、同機種のペンはCintiq 13HD/22HD(Touch含む)/21/Intuos4/Intuos5と互換性のある「プロペン」を採用しているため、これらの機種で用いていた慣れ親しんだペンをそのまま使うこともできる。

「Cintiq Companion」の外部端子など

では、ハード面での性能は全て同じかというと、一部の外部端子には違いが見られる。「Cintiq Companion」のUSB端子(×2)の規格はどちらもUSB3.0、「Cintiq Companion Hybrid」のUSB端子(×2)の規格は両方ともUSB2.0だ。新規格であるUSB3.0の方が転送速度が速いため、描画データなど大きな容量のものを扱う場合には快適に作業を進めることができるだろう。

「Cintiq Companion Hybrid」の外部端子など

モバイル性能にどこまで出せるか

最後に、導入にあたっての価格について。価格面では、Android版の「Cintiq Companion Hybrid」のほうが、Windows8版の「Cintiq Companion」より安価だ。Android版、Windows8版ともに、内蔵メモリの容量が異なる「Entry」モデルと「Extend」モデルが用意されている。

Android版同士で考えると価格差はあまり大きくないが、Windows版の方は容量によって価格の差が開いているので、外部メモリの利用も視野に入れつつ、作業に十分な容量の機種を選んでほしい。

価格表

機種 内蔵メモリ 価格
「Cintiq Companion Hybrid」Entryモデル SSD 16GB 15万8,000円
「Cintiq Companion Hybrid」Extendモデル SSD 32GB 16万8,000円
「Cintiq Companion」Entryモデル SSD 256GB 19万8,000円
「Cintiq Companion」Extendモデル SSD 256GB 24万8,000円

なお、マイナビニュースではこれまでにもプロの漫画家による発売直後レポート寺田克也らリエイターの使用感をまとめた記事レタッチャーの視点から同機種を検証した記事を掲載しているので、これらの情報もぜひ参考にしてみてほしい。