帝国データバンクは8日、2008年度上半期以降の小売業の倒産動向、および1997年の消費税引き上げ時における小売業の倒産動向(年度半期ベース)について分析した「小売業の倒産動向調査」の結果を発表した。

小売業の倒産(年度半期ベース)を見ると、リーマン・ショック後の2008年度下半期に1,155件に達したものの、2009年12月の中小企業金融円滑化法施行直後となる2010年度上半期には979件にまで減少。しかし、内需の低迷により飲食店や食料品販売が落ち込んだことに加え、2011年3月の東日本大震災をきっかけに再び増加に転じ、2011年度下半期は1,048件に増えた。

以後は減少傾向に転じ、2012年度下半期は975件と5半期ぶりに900件台まで減ったが、2013年度上半期は1,021件と前期比で46件増加した。また、各年度半期に発生した全倒産に占める小売業の構成比率は2009年下半期以降、上昇傾向にあり、2013年度上半期は2008年度上半期以降、最も高い19.2%を記録した。

前回(1997年)の消費税増税後の小売業の倒産動向を調べたところ、実施直後の1997年度上半期は1,239件と、1996年度下半期の1,250件と比べて横ばいだったものの、1997年度下半期は1,402件、1998年度上半期は1,454件と、実施直後と比べて200件近く増加していたことがわかった。

全倒産に占める小売業の構成比率については、この時期は金融システム不安が重なり全体の倒産件数も多かったため、1997年度上半期が15.7%、1997年度下半期が14.7%、1998年度上半期が14.5%と、2013年度上半期より約4ポイント低く推移していた。

小売業倒産件数・構成比の推移(1995度上半期~199年度下半期)(出典:帝国データバンクWebサイト)

小売業を業界別(7分野)に見たところ、前回の増税後には「アパレル」や「家電」業界での倒産増加が目立った。それに対して、近年は東日本大震災が発生した2010年度下半期を境に「飲食店」や「スーパー」での倒産が増加傾向にあるほか、2013年度上半期は、7分野のうち6分野で前期(2012年度下半期)の倒産件数を上回った。これは2008年度上半期以降で初めてだという。

帝国データバンクは今後の見通しについて、2020年東京オリンピック開催が決定するなど、「国内経済活性化に向けた期待は大きい側面もある」としながらも、「景気回復局面に倒産が増加する傾向がある」と指摘。また、食料品やアパレル関連など円安の影響が懸念される業界もあるとし、「景気回復途上にあるなかで増税が決まったことは、既に上昇傾向にある小売業の倒産件数をさらに押し上げる可能性がある」と分析している。