石油天然ガス・金属鉱物資源機構(以下、JOGMEC)は8日、10月初旬から、九州のくじゅう地域(大分県)および霧島地域(鹿児島県)において、ヘリコプターを用いた最新手法による「地熱資源ポテンシャル調査」を開始すると発表した。地熱資源調査を効率的に実施し、地熱資源開発の促進を図る。
JOGMECによると、日本国内には世界第3位の地熱資源が賦存している。JOGMECは、これらを有効に活用するためには、個別地域における地熱資源調査が必要不可欠であり、こうした地域の調査を効率的に行うことが重要だとし、国による地熱資源調査支援事業の一環として、今回の調査を開始するとしている。
調査対象となるくじゅう地域および霧島地域は、地熱資源ポテンシャルが高く、かつ既往調査が多く行われている。調査では、ヘリコプターを用いた最新手法による空中物理探査を実施し、空中物理探査で取得したデータと、既存のデータや文献と合わせて総合的に解釈することで、地熱ポテンシャルを評価する。
調査手法のひとつである空中重力偏差法探査では、地下の岩石密度分析を測定し、広域的な地質構造を把握する。空中電磁探査(時間領域空中電磁探査)では、地下500メートルまでの岩石の電気分布を測定し、高温の熱水や蒸気が存在する地層の電気抵抗を確認する。また、空中磁気探査では、岩石の磁気的性質を測定し、地熱や熱水と関係のある火山岩(地熱変質帯)の分布を調査する。
作業主体はフグロジャパン。くじゅう地域の調査時期は10月初旬~10月中旬、調査面積は約550平方キロメートル。霧島地域の調査時期は10月中旬~10月下旬、調査面積は約280平方キロメートル。
調査地域は今後、順次拡大していく計画。なお、調査結果は地滑りや火山活動といった防災や温泉保全などの用途にも有用と考えられるため、関係省庁や関係自治体にも提供していく方針とのこと。