国土交通省は10月4日付で、JR北海道に対して緊急の改善指示を出した。改善指示は、鉄道事業者に対して同省が行う行政指導。業務の統括管理体制を強化するとともに、各担当者間や各部門間の連携や確認を指示する内容となる。

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国土交通省は、JR北海道で発生した一連のトラブルを受け、9月21日から28日まで保安監査を実施。監査の内容を分析した上で最終的に事業改善命令を出す見込みだが、今回は「緊急に改善を要する事項が認められた」として、異例の早さで改善指示を出した。

改善指示を伝える文書では、本社が各部門の現場の状況を把握せず、各部門の業務を統括管理する体制が不十分であったことを指摘。本社軌道部門において現場の保守管理体制を指示していなかったこと、軌道部門の現場において検査担当者と補修担当者との間で連携が行われず、それを確認するしくみもなかったことが認められたとしている。

具体的な改善指示は、安全統括管理者の業務体制の改善、軌道部門の保守管理体制の構築、軌道部門以外の部門の業務体制の改善の検討、毎日の安全確認の4項目。安全統括管理者(鉄道事業本部長)が各部門を確実に統括管理するための業務体制整備を求めるとともに、本社軌道部門には現場の状況把握と迅速な対応を取るための体制構築を指示した。

現場軌道部門には、本社からの指示を踏まえ、検査担当者と補修担当者との連携を確実に行う体制、および業務の実施状況を確認する体制を構築するよう求めている。軌道部門以外の他の部門にも同様の改善が指示された。

毎日の安全確認については、「安全統括管理者は、始発列車が運転される前に、各部門の現場において輸送の安全が確保されていることを確認をすること」と明記。鉄道施設や車両の不具合などがないことや、運転時の点呼などが確実に行われていることなどを例に挙げ、鉄道事業者としての基本を再確認する内容となっている。

なお、今回の改善指示を伝える文書は、「当面の改善指示」というタイトル。本文中には、「今後の監査結果の分析の進捗等によって、更に改善措置を講ずるよう指示等することがあり得る」との一文が添えられている。