ノートPCやスマホのACアダプタが統一されるかも - USB Power Delivery
USB-PD(USB Power Delivery)は、最大で20V/5Aの100W給電ができる技術だ。IDF 2013でも披露されていたが、今回のCEATECではALPSとミツミがUSB-PDのデモを行っていた。ALPSの方は純粋な技術デモっぽかったのに対し、ミツミの方はプロトタイプのような電源アダプタを出していたので「こういう形で販売されるのですか?」と伺ったところ、まだ技術デモの範疇で発売は未定ということだった。
例えばノートPCのACアダプタは、メーカーや機種によって異なる。筆者が愛用しているIBM/Lenovoの場合、機種によってバラバラだった時代を経て19Vアダプタに統一され、そして最近はUSB風の細長い形状で20VのACアダプタとなっている。USB-PDは「最大20V/5Aの100W給電」となっているが、スマートフォンやタブレット、ノートPCくらいなら100Wでも足りる。まずはこのへんから採用されると、メーカー各社のノートPCで共通に使えるACアダプタとなるので面白そうだ。
USB-PDはいくつかのプロファイルを定義しており、簡単にいうと供給電圧などが違う。現在は「Profile 5で100Wまでの規格」だが、仮に大型ディスプレイなどで125Wとか150Wが必要なら、将来的にProfile 6以降が追加されることも考えられる。
ロームブースで見た制御ICのパネル(写真左)。USB-PDはいくつかのプロファイルを持っているが、標準USBコネクタで100W、Micro USBコネクタでも60Wの電源供給能力がある。といっても、通常は5V供給で、これはUSB標準のものだ。この展示ではUSBコネクタに何も接続されておらず(大電圧の要求がない)、供給電圧の表示が5Vになっている(写真右) |
余談だが、ワイヤレス給電の「qi」は現在5V/1Aの最大5Wの規格であり、これが2013年末に15Wに拡張されるようだ。qiを取り仕切る「WIRELESS POWER CONSORTIUM」のブースで、10W給電のデモンストレーションが行われていた。
小型化への技術、デバイスはどこまで?
デジタルデバイスやデジタル機器の薄型化・軽量化・小型化などは、いわば日本メーカーのお家芸。最後に小型化への挑戦を触れておきたい。
そのテーマに欠かせないのはICチップだが、さまざまな機能をIC化しても周辺の受動部品は必要で、チップ部品がいくつか付いている。しかし、このチップサイズも年々小さくなっており、2013年は「0201」と言って、「長さ0.2mm × 幅0.1mm」という製品が3社で展示されていた。ここまでくると、単に「チップ」といっても顕微鏡で見せるとか、〇万個まとめてこのぐらい…の世界だ。
ただ、チップ部品の提供だけで終わらないのがポイント。ALPSとムラタは実装機器会社と協力して、「このサイズのチップ部品もすでに実装可能」という展示を行っていた。ものつくりという意味において、上から下までわかるのがCEATECの真骨頂だろう。
小型製品を作るためにはまず小型部品から、ということで、ロームは各種の「世界最小」パーツを展示していた |
従来と大きさや体積を比較するデモ。砂時計の中に、砂の代わりにチップ部品を50万個も入れて比較していた |
大きさ比較では顕微鏡画像も見せていた(実際に顕微鏡を出していた会社もあるが、これが分わかりやすい)。左上にある木炭のような物体は、シャープペンシルの0.5mm芯だろう |
基板に実装半田付できるという展示。ただし、本文で触れている「0201」ではなく、一回り大きな「03015」の実装例) |
今年は「ムラタセイサク君」のショーがなくなって、ちょっとさみしい村田製作所ブース。シャンパングラスに入っているのが「0201」部品で、この個数を当てると賞品が当たるクイズを行っていた。ここも実装例を展示 |