幕張メッセで開催したアジア最大級のIT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」にて4日、スペシャルセッション「パーソナルコンピューティング30年――これから何を目指すのか」が開催された。セッションでは日経パソコン元編集長 中野淳氏が進行役を務め、国内PCメーカー5社、そしてインテルとマイクロソフトのキーパーソンが、これまでの自社の製品展開とこれからの展望を語った。
次は14nmの時代、Ultrabookも進化 - インテル
セッションでは、まずインテル 取締役副社長の宗像義恵氏が、CPUのプロセスルールの進化について語った。
2003年に90mmだったプロセスルールは2011年に22nmを実現した。この技術革新を「サーバからコンシューマまで展開する」とし、2013年から14年にかけて展開する予定の14nmのSoC Broadwellを紹介。また、価格やサイズが小さく長時間駆動で、エンタープライズ系にも使えるとして、2in1Ultrabookを中心にAtomプロセッサを展開するという。
「PC+時代」が到来、今後は機器間の連携を - NEC
NECからは、NECパーソナルコンピュータ 執行役員の小野寺忠司氏が、1982年の世界初"ラップトップ"「PC-8401A」や1991年の世界初カラーTFTノートPC「PC-9801NC」などを例に挙げ、「PC市場をけん引してきた」とこれまでを振り返った。
今後は、スマートフォンやタブレットの使い分けを背景に「マルチデバイスを使い分ける"PC+時代"」となり、機器間の連携サービスが重要だとした。実際には課題もあるが、理想はPCやタブレットにとどまらず、冷蔵庫や車などあらゆる機器が意識することなくスムーズに連携することという。合わせて機器から雑多な情報が多様に入ってくるため、個人の特性に応じてレコメンドするサービスを展開予定という。
また、小野寺氏は、軽量モバイルPC「LaVie Z」新モデルの概要を明かし、会場で実物も"チラ見せ"。セッション終了後に囲み取材に応じ、実物を記者らに披露した。799gを切るという新LaVie Zは、別途写真でご紹介する。
VAIOが目指す"クリエイティビティ" - ソニー
ソニーでは、VAIO&Mobile事業本部副本部長の萩原崇氏が、VAIOが目指す方向性を語った。キーワード「よく遊び、よく学ぶ(働く)」を実現するため、"クリエイティビティ"を重視する。その一環として、ペンやタッチ操作によるソリューションを図るため、秋冬モデルは全機種タッチ液晶を導入する。
1997年に発表したモバイルPC「バイオノート505」から16年。「薄型軽量を今後もやっていきたい」とする一方で、すぐネットにつながる、起動するいった携帯性はPCが追いかける部分、処理能力が必要なクリエイティビティはPCが勝るとし、「クリエイティビティ、モビリティそれぞれの要素を、それぞれのホームファクタに取り入れていく」とした。
タブレットとPCの役割に合った製品を - 東芝
東芝は、デジタルプロダクツ&サービス社営業統括責任者の檜山太郎氏が、1985年に公開したラップトップや1989年の世界初ノートPCなどを挙げ、30年の歴史を紹介。「ここ数年でPCの使い方が変わってきた。タブレットとPCは役割が分かれてきている」と話し、同社のタブレットとしては特に「日本人の手に合う8型サイズを勧めていく」という。
今後のコンピューティングは機器連携が大切とし、「PCは新技術を提供することがミッション。ウェアラブル機器や手書き、音声などいろいろな形で、ユーザーの課題を解決していく」とコメントした。
「ユーザーの課題を助けるLet'snote」 - パナソニック
パナソニックは、AVCネットワークス社ITプロダクツ事業部長の原田秀昭氏が、"進化するモバイル"と題し、Let'snoteの特徴である「軽量」「頑丈」「長時間駆動」「高性能」をさらに進めていくと強調した。
原田氏は、Let'snoteは「ユーザーの困りごとを解決してきた17年」であったとし、例えばWindowsタブレットの要望があれば、Windows搭載の10.1型TOUGHPADを、4Kタブレットのニーズがあれば20型4K解像度のTOUGHPADをリリースするなどの例を紹介。また、2013年の秋冬新製品「Let'snote LX3」で大画面(14型)の軽量化というニーズにも応えたとし、今後Windows XPのサポート終了にともなう移行サービスにも力を入れる。
PCが有機的につながる未来を「My Cloud」で実現 - 富士通
富士通では、ユビキタスビジネス戦略本部長代理 商品企画・プロモーション担当の松村孝宏氏が、同社クラウドサービス「My Cloud」を紹介。この30年はコンピュータ中心だったが、これからは人間(ヒューマン)中心にコンテンツが展開されるとし、同社は「ヒューマンセントリック」を推してきた。
ただ現状は課題も多く、デバイスに散財するコンテンツを共有化する必要がある。今後目指すコンピューティングは、機器が有機的に連携するもの。人が機械のハブとなるのではなく、目の前の入力デバイスが状況に応じて自動的にコンテンツを出していく未来を、「My Cloud」で目指す。
「次の十年はWindows 8」 - 日本マイクロソフト
日本マイクロソフトでは、日本マイクロソフト 執行役常務コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏がWindowsの変遷について語った。「ビル・ゲイツとポール・アレンによる"世界中の人の暮らしを良くする壮大なミッション"」で生まれたWindowsは、世界で数十億人が使用する製品に成長したと紹介。
また、香山氏は、これから「次の十年はWindows 8」と語った。大小合わせ1,000以上も機能改善したWindows 8.1が10月18日に発売することに触れ、「ユーザーが熱望していたスタートボタンが復活。タブレットにも対応。ローカルやWebを意識しない検索、Skypeも標準搭載。Windows 8に比べると格段に使いやすくなっている」と、Windows 8.1に自信を見せた。