オシャレな雰囲気が魅力の神戸市

神戸市と言えば、異人館に代表されるエキゾチックな雰囲気で人気の観光地で、六甲山から港の近くまで南北に渡ってオシャレな店やレストランが点在している。しかし中心市街地には、まるで昭和で時間が止まってしまったような商店街もある。それがJRの高架下に設けられた、通称「高架下」だ。

JR「元町駅」以西がディープ!

日本各地には、高架鉄道の下の空間を店舗などに利用しているところは多くある。中でも神戸の高架下が特別なのは、中央にある細い通路を挟んで間口1~2メートルほどの店が、JR・三ノ宮駅西口からJR・神戸駅まで、途中にはJR・元町駅も挟んでおよそ1.5キロも続いている点である。

JR「三ノ宮駅」と「元町駅」の間に設けられた通称「ピアザ神戸」

現在、神戸市の中心になっているのはJR・三ノ宮駅からJR・元町駅辺り。実は、両駅は500メートルほどしか離れておらず、その500メートルの間にいろいろな店が集積している。両駅の間の高架下(ピアザ神戸)にも、アクセサリーや靴などカラフルでファッショナブルな店が多く集まり、人通りも絶えない。

とはいえ高架下は上記のように、JR・元町駅でいったん途切れる。同駅から西にある「元町高架通(もとまちこうかどおり)商店街」、通称「モトコー」に行くためには、駅の南側を200メートル余り抜ける必要がある。こうした地理的な理由もあり、あれだけ多かった人通りは極端に減ってしまのだ。

それでもまだ元町駅近くは、古着屋やアクセサリーなど店が多いこともあって明るい雰囲気が残るため、ある程度の人通りはある。だが、そこから西に向かうと人は少なくなり、シャッターを閉めている店も増え、照明も心なしか暗くなっていく。注目していただきたいのが、そうした中にこそ個性的なものが多いことだ。

モトコーの入口は、JR・元町駅の西側にある

若者に人気の古着などを販売している店は多い

行列ができるオシャレカフェも登場

モトコーは、元は戦後すぐの闇市から発達し、60年代の高度経済成長期に、神戸港で働く港湾労働者や神戸港を訪れる外国船の船員などの客で、連日にぎわったという。実際、今でも東南アジア系を中心に、ここを訪ねる外国人は少なくない。

そうした歴史からか、今でも労働者向けの作業着や外国船員向けの中古の家電を扱う店は残っているが、それ以外にも、賃料の安さで若者向けのカジュアル衣料や古着の店、美容院などが点在している。更に、最近ではオシャレなカフェなどもできて、中には行列ができるほど人気の店もあるという。

ワープロなど懐かしい品も中古品として販売されている

JR・神戸駅に近づくほど通路は狭くなる

米軍放出品や船舶模型などの超個性品も

実は神戸に住んでいる人間も、近所の人を除くとあまりモトコーには近づかない。しかし、中華や焼肉の店など神戸のおいしいものが手頃な価格で食べられる店がそろっているし、米軍の放出品を取り扱っている店や船舶模型の専門店など超個性的な店もいろいろとあって、それらを見るだけでも楽しい。

また、古着屋や古本屋などの間に突如としてオシャレなバーがあったり、昭和で時間が止まってしまったような喫茶店があったりする。さらに、古いおもちゃをそろえている店や、最近ではアキバのようなフィギュア専門店も営業しているなど、一種のワンダーランド的な面白さがある。

神戸のまた違った顔に出会えるモトコー。見た目と違って決して怪しい場所ではないので、神戸に観光に行って時間があれば、是非のぞいてみてほしい。昭和で時間が止まったような雰囲気に、きっと感動するはずだ!