日本ヒューレット・パッカードは3日、ワークステーション関連の新製品を多数発表するとともに、東京都・ベルサール秋葉原で発表会を開催。新製品を展示するとともに、ワークステーション市場に置ける強みや歴史などをアピールした。
今回の新製品では、同社のモバイルワークステーション(ノートPC型)としては初めての「Ultrabook」となる14型「HP ZBook 14 Mobile Workstation」、および15.6型「HP ZBook 15 Mobile Workstation」と17.3型「HP ZBook 17 Mobile Workstation」が中心。
また、デスクトップ型ワークステーション向けの高品質な液晶ディスプレイとして、27型ワイドで解像度2,560×1,440ドットの「HP Z27i プロフェッショナル液晶モニター」、30型ワイドで解像度2,560×1,600ドット「HP Z30i プロフェッショナル液晶モニター」も発表された。
そのデスクトップ型ワークステーションの「HP Z420 Workstation」、「HP Z620 Workstation」、「HP Z820 Workstation」では、BTOオプションのCPUをアップデートし、Ivy Bridge世代のIntel Xeonプロセッサが選択可能となった。新製品の概要は、以下の別記事を参照いただきたい。
■日本HP、同社初となる14型フルHDのUltrabookモバイルワークステーション
■日本HP、法人向けの新モバイルワークステーション「ZBook 15」「ZBook 17」
■日本HP、デスクトップ型WSでIvy Bridge世代のIntel Xeonを搭載可能に
■日本HP、ワークステーション向けとなる27型/30型の高解像度ワイド液晶
30年以上の歴史を持つHPのワークステーションビジネス
ヒューレット・パッカード カンパニー プリンティング&パーソナルシステムズグループ コマーシャル・ソリューションズ・ビジネス パーソナルシステムズグループ ワールドワイド・プロダクト・マーケティング ディレクター |
ノートPC型のモバイルワークステーションは「ElitePad」というシリーズ名だったが、今回から「Z」シリーズに統一。HP Zシリーズのワークステーションは、ノートPC型、デスクトップ型、オールインワン型(液晶一体型)と、一通りがそろった。
発表会ではまず、ヒューレット・パッカード カンパニーのジョシュ・ピーターソン氏が、ワークステーションの世界市場や同社のワークステーションについて簡単に紹介。
「HPは30年以上もワークステーションを手がけており、古くはUNIXや独自OS、独自ハードウェアも扱っていた。そしてIntelのハードウェアやMicrosoftのOSといった標準的なプラットフォームへ移行する中で、豊富なビジネスと経験によって成功を収めた」(ピーターソン氏)
HPは「イノベーション」を強調することが多いが、ピーターソン氏は「本当のイノベーションはカスタマー(顧客)からやって来る。ユーザーがどんな課題に直面しているかを入念にヒアリングし、それをHPのラボに持って行く。ユーザーニーズをじっくり研究し、カスタマーのために『何か』をデザインする。品質にはもちろん妥協せず、信頼性の高いプロダクトを生み出す」と述べる。
ワークステーションの世界市場に目を向けると、近年は成長率が上がっている。その中でHPはトップシェアを保っており、ピーターソン氏は「ワークステーション市場の成長は将来にわたって続くだろう」と見通す。また「HPのワークステーションはデスクトップでもノートブックでも成長を続けており、数字には誇りを持っている。しかし、まだまだハングリーで満足していない」とする。
HPのワークステーションがターゲットとする分野、ユーザー層については、メディア&エンターテインメント、金融、医療、教育、パワーオフィス、政府機関、建築/設計と、かなりの網羅性である。例えば金融では、世界のトレーダーの約6割が、HPのワークステーションを使っているとのこと。また、注力分野は「教育」として、「教育は未来のアーティスト、エンジニアを育てている場所。ワークステーションを移動、移設する機会が多いこともあり、モバイルワークステーションのニーズが高まっている。モバイルや省スペース性は日本から学んだことであり、そうしたプロダクトは世界でも好評」(ピーターソン氏)という。
続いて日本ヒューレット・パッカードの小島順氏は、今回の新製品について概要や特徴をプレゼンテーション。スペックなどの概要は冒頭で挙げた別記事を参照いただくとして、モバイルワークステーションの「HP Zbook」シリーズは、充実した標準保証が1つの大きなポイントだ。3年間のオンサイト(訪問)翌日修理に対応しており、これは土日と祝日も含む。オプションの「HP Care Pack」に加入すれば、4年間または5年間の当日オンサイト対応保守にアップグレードできる。
製造・生産についても、ベース部分は中国で作り、日本ヒューレット・パッカードの昭島工場(東京都)で各種パーツを組み込むなどして、最終的に仕上げる。日本ヒューレット・パッカードではこれを「ハイブリッド生産」と呼び、BTOの柔軟性やサポート対応なども含め、東京を拠点とすることで製品としての信頼性を高める要素となっている。
また、今回の新製品で中心的となる「HP Zbook」シリーズの3モデルについては、「14型はワークステーションとしては軽量、17.3型はハイパフォーマンス、15.6型はバランスと、特徴付けをよりはっきりさせた」(小島氏)と述べた。
米DreamWorksで活躍するHPのワークステーション
後半では、米DreamWorksのケイト・スワンボーグ氏がプレゼンテーションを行い、同社のアニメーション映画制作において、HPのワークステーションがどのように使われているかを紹介した。
米DreamWorksは1年に2~3本の映画を公開しているが、制作中のものを合わせると、だいたい10本のプロジェクトが同時に進行しているという。例えば、90分の映画だと約130,000フレームをゼロから手作りしており、1つのキャラクターには数千ものコントロールポイント(キャラクターを複雑に動かすために基準となるグラフィック上の点)がある。さらに、1本の映画で使うCPU時間は7,500万時間、CPUコア数にして18,000コア以上でアニメーションをレンダリング、扱うファイル数/容量は実に5億ファイル/200TB以上…。
そこで「テクノロジーが非常に大切」だとして、HPのワークステーションを使う大きな理由は「性能」と「信頼性」と述べた。加えて、米DreamWorksはHPのサーバー群も導入しているが、ダウンタイムがないという。厳密には多少のダウンタイムはあるのだろうが、ハードウェア/ソフトウェア/ネットワークの冗長性が保証されており、小さな不具合はエンドユーザーに気付かれない。また、HP製品の省電力性能にも満足しているそうだ。「私たちには、好きな製品と好きな技術を選ぶ権利があります。HPは完全なインフラを提供してくれます。だからHPを選ぶのです」(スワンボーグ氏)と、高い信頼を寄せている。