国土交通省は、JR各社など全国の鉄道事業者に対し、軌道の整備基準値の誤用の有無を点検するように指示した件で、誤用はなかったとする点検結果を発表した。
この指示は、JR北海道の函館本線大沼駅構内で9月29日に発生した貨物列車脱線事故に関連して、基準値を超えた軌間変位(レール幅の広がり)がありながら、必要な補修が行われなかった箇所を報告させた際、整備基準値の誤認が判明したことを受けて実施されたもの。
JR北海道では、国鉄時代にレールを設置した区間において、本来は旧基準値を適用すべきであるにもかかわらず、現在の整備基準値(旧基準値より広い値)を適用して判定した例が多く、本来は基準値を超えているのに基準値以内と判定され、補修が行われなかった箇所が170カ所にのぼった。国土交通省は過去に整備基準値の変更が生じた鉄道事業者に対して、整備基準値の誤用の有無を9月30日までに報告するように指示していた。
今回の発表によると、点検の対象となったのはJR北海道を除くJR6社と、旧国鉄特定地方交通線を継承した第3セクター鉄道23社、旧国鉄の整備基準を用いていた事業者4社の計33事業者。いずれの事業者からも、整備基準値の誤用はないとの報告があったという。