千葉県・幕張メッセで10月1日から5日まで開催されるアジア最大級のIT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」でNTTドコモは、メガネ型のウェアラブル端末「インテリジェントグラス」のデモ展示を行っている。現時点ではまだ参考出展の段階の製品だが、近未来にむけた新たなインターフェースとしての可能性を紹介していたので、本稿で紹介したい。
同社のブースでは、4つの機能にフォーカスしてインテリジェントグラスを紹介。その4つは、「手ぶらでムービー」「見るだけインフォ」「なんでもインターフェース」「空間インターフェース」で、それぞれインテリジェントグラスとスマートフォンを組み合わせて、新しい使い方を提案するというものだった。
「手ぶらでムービー」は、インテリジェントグラスとスマートフォンを接続し、スマートフォンの画面をメガネに映し出すと同時に、メガネに接続したカメラが周囲の映像を表示するというもの。スマートフォンの画面が目の前に映し出され、画面を見ながらも、周囲の情報が確認することができる。言うなれば、目の前の光景にスマートフォンの画面が浮かんでいるような感覚だ。
手ぶらでムービー用のインテリジェントグラス |
手ぶらでムービーのメガネに映っている映像。右下はスマートフォンの画面で、実際には表示されていない。同じ画面が、インテリジェントグラス上に浮かんで表示されているのが分かる |
今回のデモでは、スマートフォン自体を持ち上げて操作しなくても、手元を見ずにスマートフォンを操作してムービーを再生。あとは手に持たずに視聴ができる、という形。端末のマイクを使って音声入力を活用すれば、文字通り手ぶらで操作することができる。
「手ぶらでムービー」を実際に使っているところ |
「見るだけインフォ」は、メガネのカメラが目の前の情報を認識し、サーバー経由で情報を取得してそれをメガネ上で表示するというもの。こちらのデモでは「目の前の人物の顔を認識して提示する」「外国語を認識して翻訳結果を映し出す」という2つの機能を紹介していた。
顔認識機能は、電話帳データに顔写真を登録してクラウド上に保存しておくことで、インテリジェントグラスが目の前の顔を認識してクラウド上のデータと照合。電話帳に登録された名前などの情報を目の前に表示する、といった使い方ができる。
翻訳機能は、海外のレストランなどで、インテリジェントグラスを通してメニューを閲覧。すると、自動的に文字を認識してサーバー上の翻訳エンジンが起動し、その結果をメニュー上に重ねて表示することが可能だという。同機能は、ドコモが現在提供している、スマートフォンのカメラで写した文字を翻訳してくれるサービス「うつして翻訳」をインテリジェントグラスで活用するものと考えるとわかりやすいだろう。
「なんでもインターフェース」は、紙のノートなど、物理的な平面の物体を「画面」にしてスマートフォンを操作するというもので、インテリジェントグラスをかけ、センサーとなる「指輪」を指に付けた状態で操作する。
デモでは、ノートやホワイトボードなどを2回タッチすると、その表面にスマートフォンの画面が映し出し、その画面を指で操作する様子を紹介していた。
なんでもインターフェースを操作しているところ |
「空間インターフェース」は、インテリジェントグラスが映した目の前の光景に、実際には存在しない物体を表示。表示した物体を指で操作することができるというもの。スマートフォンのカメラを使ったAR(拡張現実)に近い機能だが、その物体を実際に操作できる、という点が新しい。仮想空間をインテリジェントグラスに表示し、その中で実際に目の前のものに触ながらコミニュケーションできる、といった未来像を想定しているようだ。
空間インターフェースの動作 |
本稿で紹介した通り、インテリジェントグラスは、現在提供されているウェアラブル端末にはない印象的な機能を搭載している。同製品は、現時点ではあくまで参考出展であり、製品化について未定。今回取材したドコモブースへの来場者の意見や反応を踏まえつつ、今後の開発を続けていくとのことだ。今後ますます注目される最先端のウェアラブル端末の未来を体感したい人は、CEATEC JAPAN 2013に出向き同製品を体感してみるとよいだろう。