代表的なのは米ドル預金
外貨預金で利用できる通貨は銀行により異なります。米ドル、ユーロ、オーストラリアドルをはじめ、銀行によってはブラジルレアルや中国元などまで。金利も、通貨や銀行により異なります。外貨預金を検討しているなら、金利、為替変動の状況、今後の見通しについて考えたいもの。どの銀行でも取扱っていて、日本に居ながら、為替変動やその理由などの情報を得やすいのは米ドルです。
為替手数料を確認
外貨預金をするには、円を外貨に替える手間がかかります。その手数料として、銀行に払うのが為替手数料です。為替手数料は、外貨を円に戻すときにもかかります。外貨預金を利用する際の外国為替相場として銀行が提示しているレートには、この為替手数料が含まれているのです。円を外貨に替えるときのレートをTTS、外貨を円に戻すときのレートをTTBと言います。
外国為替相場の例
表を見てください。仲値が銀行間取引に使う外国為替レートで、これに為替手数料を考慮して、外貨預金の作成レート(TTS)と外貨預金の解約レート(TTB)が顧客に提示されます。
例えば米ドルの場合、TTSは仲値より1円高く、TTBは1円安くなっています。利用する客から見ると、作成のときは1ドル当たり1円多く円を払い、解約のときは1ドル当たり1円少なく戻ってきます。つまり、外貨預金を作成したときと解約したときの仲値に変化がなければ、合計で1ドル当たり2円の為替手数料を払うことになります。
ユーロは、仲値との差が1円50銭、外貨預金を作成して解約すると合計で1ユーロあたり3円の為替手数料がかかります。
オーストラリアドルは、仲値との差が2円50銭、外貨預金の作成と解約の合計では1オーストラリアドルあたり5円の為替手数料がかかります。
外貨預金の為替手数料は安いに越したことはありません。預入方法などに応じて、窓口よりも為替手数料を安くしている銀行もあります。
外貨預金の損益は?
為替手数料がかかることで、その分、預入れたお金が目減りするのですが、金利が低いとはいえ利子が付き、さらに為替の動向により為替差益や為替差損も生じます。外貨預金の損益はどのように考えればいいのでしょう?
例えば米ドル場合。仲値が作成時よりも2円円安になれば、為替手数料と同額の為替差益が得られるので、為替においてはプラスマイナスゼロ。利子の分が利益です。もし2円を超えて円安になれば、超えた分の為替差益と利子の両方が利益になります。
では、円高になったら…。米ドルの仲値が1円円高になると、解約レートは作成レートよりも3円高くなります。つまり円に戻すとき1ドル当たり3円少なくなるということです。ただし利子が付くので、その分は、為替差損が減少します。
利子にかかる税金は円預金と同じ
現在は金利が低いとはいえ、外貨預金には利子がつきます。利子は、円を外貨に替えた、その外貨額に対して計算します。
例えば外貨で10000米ドルの預金で、金利0.05%なら、10000米ドル×0.05%=5ドルの利子が付きます。この利子からは、日本円の預金と同じように税金が引かれます。所得税15%と住民税5%に復興特別所得税を加え合計20.315%(復興特別所得税は2037年12月末まで)。税金を差し引き後の手取り利子は、3ドル98セントです。
円に戻すときの元利合計は10003ドル98セントとなり、これに解約レートをかけて円での受取り額が決まります。
預金保険の対象ではない
円預金は、万一、預入れた銀行が破綻したときも、元本1000万円とその利子までは預金保険制度により守られます。外貨預金の場合は預金保険の対象ではありません。
外貨預金には、このようにリスクもありますが、円安が進行した場合には、円預金よりも有利になります。仕組みをよく理解した上で、余裕資金で行うべき運用の手段のひとつ。まずは外国為替の動向に、目を向けてみませんか?
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<著者プロフィール>
ファイナンシャルプランナー 坂本綾子
20年を超える取材記者としての経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行っている。著書『お金の教科書』全7巻(学研教育出版)、セミナー『子育て力のあるお金の貯め方、使い方』『小さな消費者へのお金の教育』など。