「チェンジ喘息!」乙葉さん、ロバート・秋山さんらが訴え

アステラス製薬とアストラゼネカは9月30日、タレントの乙葉さんとお笑い芸人のロバートを招いた喘息(ぜんそく)疾患啓発活動「チェンジ喘息!」トークイベントを開催。「自分に合った治療法を続けて症状が出ない毎日を楽しみましょう」と呼びかけた。

「喘息の秋」、その原因は?

秋は喘息患者にとって、症状が悪化しやすい季節でもある。その原因は、気道の慢性的な炎症により起こる喘息が、季候や外部環境の変動によって症状が出やすいという特徴を持つため。特に10月、11月は季節の変わり目で、喘息の症状が出て悪化しやすい。

このタイミングに合わせて実施している同キャンペーンでは、喘息の症状や不安を取り除くためにも、自分にあった最適な治療法を発見・継続し、症状が出ない毎日を楽しんでほしいと啓発している。キャンペーン・ナビゲーターには、自身も8歳頃から喘息の症状に苦しみ、近年新たな治療法に出合ったという乙葉さんが、昨年に引き続き務めた。

アストラゼネカの太田篤氏

会の冒頭、主催者を代表してアストラゼネカ プライマリーケア事業本部マーケティング統括部の太田篤氏が挨拶した。

日本の喘息患者は、1960年代では大人も子供も人口の1%前後だったが、近年では子供は6%、大人は3%にそれぞれ増え、国民全体では400万人が喘息を患っているという。太田氏は喘息患者が非常に増えていると前置きした上で、「健康な人と変わらない生活を送ること、症状ゼロを目指して、幅広く多くの人に正しい情報を伝え、患者に貢献」したいと同キャンペーンの意義を強調した。

アプリで自分に合った喘息治療法を続けよう

同キャンペーンでは、Webサイトで乙葉さんが自身の体験談を語る動画や、「ぜんそくクイズ」「ぜんそく天気予報」などのコンテンツが公開されている。そうした取り組みに加えて、10月1日より新たに「チェンジ喘息!アプリ」の提供が始まった。これは喘息患者を対象に、一人ひとりにあった治療法をサポートするのが目的だ。

アステラス製薬の鈴木有希子氏

アステラス製薬 プロダクトマーケティング部の鈴木有希子氏によると、喘息を患う人の多くは症状が出た際に「これでいい、こんなものだ。先生に言うほどではない」「喘息だから仕方ない、我慢すれば良い」と思いがちで、医師から尋ねられても自分の症状をうまく伝えられていないのだという。

また、症状が収まっているときには薬を忘れてしまったり、忙しかったりすると治療を怠ってしまったりがちで、治療を継続できていない人も少なくない。そこで、これらの課題を解決すべく、スマートフォン向けに同アプリを開発した。

同アプリは、ユーザーの入力した服薬状況や、喘息の状態をグラフで表示する。日々の症状の変化や治療状況が把握しやすくなるほか、アバターを設定して喘息患者同士のコミュニケーションを取ることも可能。服薬を怠らない、治療に前向きになれるといった効果もあるという。同アプリはGoogle Playなどで、「チェンジ喘息!」公式サイトから無料でダウンロード可能だ。

秋山の治療法は30年前のもの?

続いて、乙葉さん、ロバート、そして喘息治療の第一人者である山王病院アレルギー内科の足立満氏が登壇し、トークセッションを行った。

乙葉さんは、「症状があることはしょうがないことなのかなと思っていた」と幼少期を振り返る。芸能界に入ってからも、咳(せ)き込むことで周りに迷惑をかけてしまうのではないか、と気にする日々だったという。

8歳から喘息に苦しんできたという乙葉さん

ロバート・秋山さんも幼少期に喘息と診断された

一方、ロバートの秋山竜次さんは、「子供の頃がピークだった」とのこと。大人になってからもコントで舞台を動き回ったり、いっぱいしゃべったりすると症状が出ることがあり、「ここは人が多くほこりが舞ってるから喘息の症状が出そうだな」と、環境に敏感になると語った。

そんな2人だが、喘息への向き合い方は対照的。秋山さんは「幼少期に喘息キャンプに行ったが、環境の変化でかえって症状が悪化し、不安が増長されてしまった」というエピソードを明かした。現在は、「このくらいだったらまだ大丈夫だろう」と我慢したり、実際に苦しくなってから薬剤を吸入したりする程度だという。

乙葉さんはというと、数年前に自分に合った治療法と出合い、「現在では喘息を気にすることなく生活できている」とのこと。その治療法とは、医者の処方した飲み薬を服用し続けるというもので、症状を鎮めるだけではなく、毎日継続的に服薬を続けたことで、「喘息だから咳が出たり息苦しくなったりするのは仕方ない」という考え方はなくなり、喘息を持たない人と同様の生活が実現したという。

「自分に合った治療法を」と訴える乙葉さん

「30年前の治療法」にショックを受けるロバート・秋山さん

両者の話を聞いていた足立氏は、秋山さんの対処法について「非常に良くないですね」とコメント。今は若いので何事もないようだが、「ある日突然ドーンと(肺機能の低下による大病が)起きる可能性がある」と警告する。その上、「秋山さんの治療法は30年前の治療法です」と切り捨てた。

これに対して秋山さんは、「もっと早く聞きたかった!」と喜び半分、悲しみ半分の表情。「小学校の頃、毎年七夕の短冊に『喘息が治りますように』って書いてたのに……」と切ないエピソードを明かす。

さらに、幼馴染(なじ)みで相方でもある、「喘息患者の友人代表」として臨んだロバート・馬場裕之さんは、「秋山にネタを書いてもらって、芸人としての活動はほぼ秋山に頼っているので、すぐに病院に連れて行って、毎日の予防を心がけるように、僕が責任を持ってやります」と宣言した。

足立氏によると、学会では90年代から「気道の炎症が原因」という説が有力視され、現在では副作用のほとんどない吸入ステロイドにより気道の炎症を抑える治療法が主流とのこと。今では喘息による死亡者が、従来の3分の1から4分の1へ減少している。

幼少期から大人になっても続く喘息を完治させるということは、残念ながら難しい。しかし、自分に合った治療をしっかり続けることで、症状が出ない日常生活を送ることはできるという。

「秋口は喘息症状が出やすい」(足立氏)

「喘息持ち芸人」によるライブが実現!?

季節の変わり目、特に10月、11月は、気温が下がったり台風が来たりすることが多い。そのため、気温・気圧の変化によって気道が過敏になっており、喘息の症状が出やすいという。秋山さんも「確かに夏の終わり頃は症状が出やすい」と同意。「喘息の人同士って話が合うんですよ。喘息の人を集めてトークライブをやりたい」と抱負を語った。