大阪商工会議所は30日、「消費税率引き上げに伴う悪影響の緩和に関する緊急要望」を発表した。10月1日に安倍首相が消費税率の引き上げを決定した後、同日付で内閣総理大臣をはじめとする政府関係機関や与党幹部などへ建議する。
大阪商工会議所は、消費税率引き上げが、中小企業の新たな収益圧迫の要因となることを危惧。政府に対し、まず「消費税転嫁対策特別措置法」の実効性を高め、広報活動の徹底や不公正取引の取締り強化など、円滑な価格転嫁策に万全を期すよう求めている。併せて、業績悪化に対応した補助金・融資制度の創設など、中小企業に対する十分な支援策の実施を要望している。
また、個別消費税など消費税が持つ二重課税の問題を解消するため、石油関連諸税(揮発油税・石油石炭税など)、不動産流通課税(不動産取得税・登録免許税など)、印紙税などを軽減・廃止するよう求めている。
現在、導入が検討されている複数税率については、中小企業の事務負担が増大するほか、税率の線引きを巡って取引先・顧客との間でトラブルが生じる可能性が高いと指摘。加えて、簡易課税制度の維持が実質的に困難になるとともに、免税事業者が取引から排除される懸念があるとし、「中小企業に対する悪影響が特に危惧されることから、導入に強く反対する」としている。
社会保障制度については、「給付抑制なき負担増」に陥ることのないよう、70~74歳の医療費窓口負担の特例措置(本則2割/特例措置1割)を確実に廃止するとともに、マクロ経済スライドの名目年金加減方式の廃止、受給開始年齢の引き上げを実施するなど、給付抑制策の具体化を急ぐよう要望している。
年金制度については、全国民が同額の保険料を負担する新たな基礎年金制度の検討を求めるなど、制度の抜本的見直しを提言。また、社会保険の短時間労働者への適用拡大については、パート労働者を多く雇用する企業の経営や、雇用に悪影響を与える可能性が高いとし、改正法の施行(2016年10月)や適用範囲の拡大に慎重な見方を示している。