東芝は30日、赤字が続いている映像事業について、海外に3カ所あるテレビの自社工場を1カ所に集約するなどの構造改革を実施すると発表した。
具体的には、注力地域の「集中と選択」の一環として、成長率の高いアジア、中近東、アフリカなど新興国市場に力を入れる一方で、不採算国・地域での販売を休止し、在庫・物流コストの削減に取り組み、経営体質のスリム化を図る。
海外に3カ所あるテレビの自社工場を2013年度内に1カ所に集約。これにより、グローバル生産委託比率を現在の40%台から2014年度までに70%に引き上げる。現在進めている生産委託先や機種数の絞り込みに加え、自社拠点の整備を図ることで、固定費削減と生産効率向上を実現するという。
国内市場向け商品の開発については、今後販売拡大が見込まれる大型4K対応液晶テレビや、他社製品との差異化を可能とするテレビ視聴・録画機能へ注力するほか、デジタルプロダクツ間に加え家電製品との連携を高めるクラウドサービスの強化にリソースを集中する。また、成長が期待されるデジタルサイネージなどの業務用映像機器の商品開発も進めていく。
これらの構造改革施策を通して、映像事業の国内外の連結人員数を2013年度末までに現在の約半数に当たる3,000人に削減する。
また、社内カンパニーのデジタルプロダクツ&サービス社から映像事業を分割。家電を扱うグループ会社の東芝ホームアプライアンスに統合し、新たに映像事業と家電事業を一体運営する「東芝コンシューマエレクトロニクス」(仮称)を、2013年度下期中に設立する計画だ。これにより、コンシューマ事業として資源の共有を図り、国内における販売・アフターサービス体制の効率化、新興国市場を中心とした海外での販売強化、スマート家電など新分野における一元的な開発投資を図るという。
同社は、これらの構造改革を推進することで、2013年度下期の黒字化を目指すとしている。