とりあえず2年間は転送量制限なし……だがその先は…?

発表会の質疑応答とその後の個別説明で、分かったことを列挙してみよう。

「今のWiMAXはどうなるの?」というと、当面変更がないので問題ない。これは既存の契約者がいること、WiMAX2+にWiMAXとの下位互換がないこと、WiMAX2+には既存とは別のバンドを使うためだ。

WiMAX2+へと徐々に移行することに加えて、WiMAXに割り当てられた周波数帯と連続する形でWiMAX2+の周波数帯が割り当てられている。よって、現在の10MHz×3という周波数帯を見直して、WiMAX2+に割り当てられた20Mhzの帯域に追加することも考えているようだ。

UQ WiMAXに割り当てられた周波数は、2.5GHz帯で連続する50MHz。明言はしなかったものの、将来の帯域変更もあり得る

今回から、端末にSIMが必要となる。これはTD-LTEを使うことになった弊害で、ファミ得パックやWiMAX機器追加オプションといった、端末数を増やす施策が行いにくくなった。また、同じTD-LTEを使う事業者とのローミング施策「World WiMAX」も、今のところ未定だ。発表会では触れられていなかったが、UQ Wi-Fi、グローバルIPオプションも提供されないので、キャリアグレードNATによるローカルIPアドレスのみの提供になるだろう。

価格に関しては、SIMを使うことと、長期契約によるメリットを打ち出したいということで、UQ Flatツープラスの2年契約を前面に押し立てている(期間条件なしの価格はプレスリリースには載っていなかった)。ただし、UQ 1dayに関してはまだ検討中ということだ。

また、UQ Flatツープラスおトク割に関しても、期間限定なのか、今回の新端末(ファーウェイのHWD14)に限定するのかは、まだ未定とのこと。

ついでに「消費税が増税になっても税込なの?」と意地悪く聞いてみたが、これは外税にして転嫁する旨の回答だった。

そして大きな関心事であるWiMAX2+の転送量制限だが………、執行猶予というのが本音のようだ。

UQ Flatツープラス契約の場合、WiMAXは従来通りノーリミットで、WiMAX2+利用は2年間ノーリミットと言っている。そして2年後から月間7GBの月転送量でリミットを掛けると言っているものの、実際にどこまで下げるのか?という質問に対しては、まだ決まっていないという回答だった。

説明スライドも2年後に帯域制限をすることがあるとは言っているが、速度に関して他社は128kbpsになると書いてあるだけで、UQがどのような制限をするか明言していない

現行のWiMAXのユーザー数が426万となっており、基地局に多数のユーザーが利用する過密部で過負荷になっている。

基地局あたりの転送可能量は決まっているので、そこで皆が使うようになればユーザースループットは低下し、サービス満足度を下げる要因となる。そのため高速化するWiMAX2+では、月転送量制限を入れるという説明をしていた。

しかし、一律に速度を下げるのか、追加料金を払えば転送量をアップするのか、あるいは他のユーザーに迷惑の掛からない空いている基地局なら問題ないのか、そもそも7GBという数字が妥当なのか…。検討すべきポイントがまだまだ多いため、結果として期間が必要と判断したようだ。

ノーリミットを前面に押し立ててプロモーションしていたので、それを突然やめるのは営業的に得策ではないという判断もあるだろう

野坂社長は月額4,405円でも十分リーズナブルと発言していたが、一方であまり転送量を必要としないユーザーにとって、MVNOの低価格SIMの存在も見過ごせないものとなっている。従来のWiMAXはノーリミットを前面に押し立ててプロモーションしていたこともあり、少なくともWiMAX2+の全国サービスが始まる2015年までは、ノーリミットのままWiMAX2+への移行を促進しようという考えなのかもしれない。