2013年3月まで放送され、今後の展開について続報の待たれるTVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス』のオールナイト全話上映付き「プロジェクト重大発表会」が9月6日、東京のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催された。

左から本広克行総監督、日髙のり子、花澤香菜、塩谷直義監督

オールナイト全話上映の前に行われた「プロジェクト重大発表会」には、本広克行総監督はじめ、塩谷直義監督、ストーリー原案・脚本を担当する虚淵玄氏(ニトロプラス)、常守朱役の花澤香菜、そして当日のシークレットゲストとして、ドミネーターの音声を担当する日髙のり子と、宜野座伸元役の野島健児が加わり、『PSYCHO-PASS サイコパス』プロジェクトの今後の展開が明らかにされた。

2012年10月から2013年3月まで、フジテレビの深夜アニメ枠「ノイタミナ」で放送された『PSYCHO-PASS サイコパス』は、本広総監督が初めてアニメを手がけたことに加え、ストーリー原案と脚本にTVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』の虚淵玄氏を、そしてキャラクター原案を人気マンガ家の天野明氏が担当したことでも話題に。アニメーション制作はProduction I.G、音楽は菅野祐悟氏が担当している。

まずは総監督、監督、脚本家、声優というそれぞれの立場から苦労したシーンや好きなシーンについて語られ、脚本の虚淵氏は、アクションや映像的な見せ場とは別に台詞や内容部分での見せ場だったと20話が、そして塩谷監督は狡噛が雑賀教授のもとを訪れ、笑顔を見せる19話が印象深いシーンとして挙げられた。

「説得力のある画面、ドラマを構築してほしい」と本広総監督よりリクエストがあったと語る塩谷監督に、本広総監督からは「実写にもなりえるような演出を塩谷さんがやってくれた」と称賛するコメントが。さらに「実写になった時の宣伝なので(笑)」と実写化に向けての意欲ものぞかせ、さまざまなスピンオフ作品の存在する『踊る大捜査線シリーズ』の本広総監督ならではの発言で会場を沸かせた。

作品について振り返った後は、今後のプロジェクト発表の第一弾が行われた。現在、小説やドラマCD『PSYCHO-PASS サイコパス/ゼロ 名前のない怪物』などが展開されているスピンオフシリーズがこの度「『PSYCHO-PASS サイコパス』外伝シリーズ「PSYCHO-PASS Legend(サイコパス レジェンド)」と題され、その第2弾小説の「監視官 宜野座伸元」のプロローグが、ノイタミナノベルに掲載されることが発表された。

第3弾では縢秀星が取り上げられること、さらにPSYCHO-PASSサイコパス×S-Fマガジンとのプロジェクトが進行中との発表が行われ、さまざまな新情報に会場からは歓声が上がった。会場に宜野座役の野島が登場すると、シークレットゲストの登場に会場からは黄色い歓声が。そんな中、野島にも思い出のシーンが尋ねられ、「宜野座の監視官らしいかっこよさが目立った」という理由で1~3話が挙げられていた。

そんな過去を振り返り、新プロジェクトに関しても情報が発表されたイベントではあったが、本当の重大発表はこの後に待っていた。ステージにドミネーターの音声を担当する日髙が2人目のシークレットゲストとして登場し、ここからはニコ生での中継も交えて行われる本当の重大発表会に移行。会場の灯りが落とされスクリーンに映し出されたのは、これまでのトークの内容を総括したような、アニメ本編を振り返る朱のモノローグだったそしてアニメーションが終わった瞬間大スクリーンに映し出されたのは、「TVシリーズ&劇場版プロジェクト始動!!」の文字。スクリーンに記された<完全新作>の文字に、会場からは大歓声が上がった。

気になるその新TVアニメシリーズと劇場版について、登壇者には○×の書かれた札が配られ、まだ詳細は明かせないとしながら、新プロジェクトについて少しでも情報を引き出そうと○×回答形式の質問コーナーが行われた。

まずは投げられたのは「どれくらいシリーズを続けていきたいか」という質問。これには全員がもちろん○の札を上げ、塩谷監督が「それはもう死ぬまで」と回答。虚淵氏からは「作品というのは作り手以上に長生きするものであってほしい」と、語り継がれていく物語、映像として未来永劫続いてくれたらという思いが語られた。本広総監督はここでも「実写化するまで」と一貫した思いを力強く語り、ほかの登壇者や会場もその言葉に大きな期待を寄せていた。さらに「公安局刑事課一係みんなの登場はあるのか」との質問には、虚淵氏が「登場したから幸せとは限らない」と意味深なコメントを残し、虚淵だからこその発言には喜びと不安の入り混じる声が上がっていた。

最後に塩谷監督からファンに向けて「新TVシリーズ、劇場版を作れることは本当にみなさんの応援あってのおかげ。新キャラもこれまでのキャラと同じように愛していただけたら。」とメッセージが送られ、「逃亡中の声優さんも遠くで応援してくれると思いますので(笑)」と、本編のラストで行方をくらませた狡噛についても触れられていた。虚淵氏から「この場でお話出来ないことが多すぎて歯痒いところではありますが、年明けくらいからいろんなサプライズがあると思います。これだけの形に成長してくれて脚本家冥利に尽きる。」とコメント。

本広総監督は「話せないことばかりなんですが、かなり面白く、みなさんが楽しめる作品になってる。応援する声があればあるほど盛り上がる」と作品への声援を絶やさぬようにとのリクエストが。そして花澤からは「新シリーズと劇場があると聞いて小躍りしました(笑)。最終話を終えて、朱がどういうふうにいろんな人たちと接していくのかとても楽しみです。修行して参りますので、これからも応援よろしくお願いします」と、新たな展開を見せるシリーズに向けての意気込みが語られた。

『PSYCHO-PASS サイコパス』は、人の心理状態や性格の傾向を数値化して判断する近未来の情報化社会を舞台にしたアニメ。刑事は、犯人を捕まえる実働部隊となる「執行官」と、執行官を監視・指揮する「監視官」で活動するという設定で、数値で管理され、完璧に見える高度情報化社会が持つ矛盾を描き話題となった。そのアニメが新シリーズ、そして劇場版として帰ってくる。内容の詳細や放送、公開時期などは今後随時発表する予定。