小学館はこのほど、シンガポールに100%子会社の現地法人「小学館アジア」を設立したと発表した。新会社では、英語をはじめ多言語による出版を進めていくという。

新会社では、これまで小学館が培ってきた海外出版での経験や従来のライセンスをベースに、自社での出版事業を展開していく。具体的には、ドラえもんをはじめとするコミックスの英語版を出版するほか、子どもの図鑑、学習をサポートする書籍などの英語版を出版する。また、各国ローカルパートナーとの連携を深め、小学館からアニメーションの導入とメディアミックス戦略、それに続く商品化といった多角的経営ノウハウを伝えていく。

将来をにらんだデジタル化の展開において、デジタルファーストなどの実験的な取り組みも行う。さらに、オセアニア、インドなどについても積極的に市場調査を実施し、ASEAN地域以外への進出も図っていく。

小学館によると、アジアの新興国では経済発展に伴い所得水準が上昇し、教育に対する関心も高まっているという。同社は、学習まんがや書籍などの出版を通じて、同地域における学習レベルの向上に貢献するとともに、市場拡大を目指すとしている。

新会社の設立日は2013年9月18日、住所は2 Shenton Way #10-02 SGX Centre 1, Singapore 068804(11月予定)。社長は加治屋文祥氏(小学館マルチメディア局プロデューサー)で、資本金は120万シンガポールドル。

小学館は、1986年に米国・サンフランシスコにおいてVIZコミュニケーションズ(集英社、小学館集英社プロダクションとの合併)を設立。以来、パリとベルリンにVIZヨーロッパ(同)、中国・上海市に上海VIZ、台湾に台湾小学館を設立し、各地域の特徴や文化に応じた出版事業、広告事業を展開してきた。また、アジアにおいては、各国の現地出版社をパートナーとしてライセンス出版を行ってきたという。