円安で海外ブランド品が値上げというニュースが伝えられることがありますね。海外のものを買う際には、円安だとたくさんのお金(円)を払うことに。こんな場合は円高のときに外貨に替えておくと有利なのです。今回は、円を外貨に替えて預ける外貨預金を紹介します。
毎日の暮らしにも影響がある外国為替
平日の夜のニュースでは、「本日の株価」と「外国為替レート」が伝えられます。このふたつは重要な経済指標。海外の通貨に対して円安になると、同じものを買うのに、たくさんの円を支払わねばならず、その影響で輸入品の値段が上がったりします。逆に円高になると、同じものを少ない円で買えるので、輸入品の値段は下がります。日本国内で円を使って暮らしていると、外国為替についてあまり意識することはありませんが、実は輸入品の価格変動などにより少なからず影響を受けているのです。
外貨預金の金利は?
日本の多くの銀行では、円の預金に加えて、円を外貨に替えて預ける外貨預金も取り扱っています。外貨預金にも普通預金と定期預金があります。数年前まで、外貨預金の金利は超低金利の円預金に比べて高く、高い金利に魅力を感じて利用する人が多かったようです。しかし、このところ先進国は軒並み低金利に。オーストラリアドルをのぞき円預金とあまり変わらなくなりました。
外貨預金の金利の水準は下の表の通りです。
外貨預金の金利は?
外貨預金の場合、円を外貨に替え、その外貨の額に対して、上記のような金利をもとに計算した利子がつきます。金利が低いなら、外貨預金にしてもあまりメリットはないのでしょうか? 外貨預金で利益を得られるかどうかは、金利のみならず、為替の動向が大きく影響します。
外貨預金が有利になるのは円安? 円高?
外貨預金は、預けたお金を外貨の現金として引き出すこともできますが、通常は円から外貨に替えて定期預金などにし、一定期間ののち外貨から円に戻して、円で受け取るのが一般的です。
外貨に替えたときの為替レートよりも、円に戻したときの方が円安になれば、たくさんの円を受け取ることができるので、円としての金額が増え、お金が増えたことになります。為替の動向により増えたお金を為替差益と言います。金利が高いときに預けて、その後、円安が進めば、利子と為替差益の両方を得られるわけですね。
逆に、外貨に替えたときの為替レートよりも、円に戻したときの方が円高になると、少ない円しか受け取ることができません。円としての金額が減る、つまり元本割れで損をすることになります。為替の動向により減ったお金は為替差損です。外貨預金の金利が高かったころは、利子で為替差損を補えるケースもありましたが、金利が低い現在は、受け取る利子が少ないので、為替の影響を大きく受けます。
外国為替の動向により、お金が増える可能性もあるけれど、損をするリスクもあるのが外貨預金。利用するかどうかは、今後の為替の動向をどう考えるかがポイントです。
覚えておきたいのは、預入れ時よりも円安になると有利ということ。
外貨預金について、その仕組みをさらに詳しく見てみましょう。
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<著者プロフィール>
ファイナンシャルプランナー 坂本綾子
20年を超える取材記者としての経験を生かして、生活者向けの金融・経済記事の執筆、家計相談、セミナー講師を行っている。著書『お金の教科書』全7巻(学研教育出版)、セミナー『子育て力のあるお金の貯め方、使い方』『小さな消費者へのお金の教育』など。